8月21日(水)、東京都内にて「静岡市×Aホールディングス包括提携式・調印式」が開かれた。Aホールディングスは、ウォーターアリンテック株式会社、富士山の銘水株式会社、富士ウェーブ株式会社の3社を中核とするホールディングカンパニーで、次世代水テクノロジーにより環境汚水ゼロ社会を目指している。
静岡市では、清水区内で工場周辺の水路や井戸水から国の暫定指針値を大きく超える高濃度PFASが検出される状況が続いていた。PFASは有機フッ素化合物の総称で、分解されにくいことから「永遠の化学物質」とも呼ばれ、人体への悪影響も指摘されるなど世界各国で問題視され、規制が進んでいる。
Aホールディングスは高濃度PFASに悩む静岡市に、同社の亜臨界水総合システムを使ったPFAS汚染除去の実証実験を行なうことを2024年4月に提案。
亜臨界水総合システムとは、従来の亜臨界水処理技術を応用したAホールディングス独自の次世代装置である。システムを構成する亜臨界水処理装置、各種発酵装置、加圧浮上分離装置という三つの装置のうち、加圧不浄分離装置によってPFASを大幅に除去することができるとAホールディングスは考えたのだ。
Aホールディングスと静岡市は、静岡市の三保雨水ポンプ場においてPFAS汚染水除去実証実験に取り組み、最大88.7%の汚染除去に成功。この結果を受けて、「環境中のPFAS除去・無害化に関する取り組みの推進およびSDGs環境先進都市を実現する『亜臨界水総合システム』社会実装のための連携協定」を21日(水)に締結した。
今回の包括提携式・調印式では、静岡市の難波喬司市長とAホールディングスの粟井英朗社長が、文書に調印した。
難波市長は、新しい技術を持った企業と共にPFAS汚染といった環境問題に役立つ技術を作り上げてそれを発信し、世界の環境問題に貢献したいと意気込みを語った。Aホールディングスも、PFAS汚染水からの分離除去だけでなく、PFASを無害な分子レベルにまで分解するという今後の展望を明らかにした。また、今回の式では静岡市とAホールディングスが新会社を立ち上げることも発表された。その会社に関しては、来年1月に発表が行なわれるとのことだった。