9月16日(祝・月)、東京都内にて「日経CNBC開局25周年記念 世界経済を展望する、マーケット・経済サミット2024~米大統領選直前スペシャル、どうなる世界経済と株価⁉ 米半導体の勢いは続くのか。池上彰がゲストと共に徹底分析~」が開催された。

日経CNBCが主催(協賛:moomoo証券)したセミナーで、多数の個人投資家が参加。投資家で棋士の桐谷広人氏による「日本株と株主優待」、エコノミストのエミン・ユルマズ氏と日経CNBCキャスター岡村友哉氏による「米国大統領選後の経済と米国株式の行方」といったテーマの講演が行なわれた。

タイトルにも謳われた池上彰氏が登壇したのは、セミナーを締めくくる第3部。エヌビディア日本代表兼米国本社副社長の大崎真孝氏と2人で「AI、スーパーコンピュータ、半導体の未来」というテーマについて語った。

ニュースでもひんぱんに取り上げるエヌビディアだが、そもそもエヌビディアとはどういう会社なのかという話題からスタート。エヌビディアはAIの開発に欠かせないGPU(画像処理装置)で高いシェアを誇る半導体メーカーであること、半導体メーカーだがエンジニアの6〜7割はソフトのエンジニアでソフトを重要視していること、ソフトウェアツールとソフトウェアライブラリーに注力しているので難しいGPUの仕組みを理解しなくても開発が可能ということなどが語られた。

今後の日本におけるAIという話題になった際には、大崎氏は「日本のAIは遅れているが、チャットGPTの登場で日本でも能動的にAIが使われるようになったので、日本でのAIに対する意識が変わった」と自論を展開。今後はいかにAIを活用するかというアイデアの勝負になるのではないかと語った。

話題は半導体産業の未来へと変わり、「日本企業に勝機はあるのか?」という問いかけに池上氏は「熊本に工場を建設したTSMCは黒船。だが、国が旗振りをして、果たしてうまくいくのか」と疑問を提示。大崎氏は「海外のお客さん、つまり半導体メーカーを日本に引き寄せることが重要」と述べた。

大崎氏によると今後AIはマルチモーダル化(複数の種類のデータを一度に処理すること)していき、マルチモーダルAIを搭載したロボットは身体性を獲得するという。こうしたロボットはたくさんのセンサーを必要とするので、日本企業が得意とするセンサーが今後大いに活きるだろうと大崎氏は語った。

AI開発の分野において日本は遅れをとってしまっているが、決して希望がないわけではないと理解できる内容であり、大崎氏は会場の聴衆に「そうした日本企業の強みにどんどん投資してください」と呼びかけた。