サイオステクノロジー株式会社は都内で16日、クラウドワークフロー「Gluegent Flow(グルージェントフロー)」 に生成AI技術を取り入れた新機能の発表会を開催した。

これまで、紙の帳票のデジタル化や業務プロセスの効率化といった課題解決に取り組み、「Gluegent Flow」サービスを展開してきた同社は、生成AIの最新技術を導入した新機能を開発することで、さらに迅速かつ適切に企業のDX推進を支援できるとしている。

同社は、1997年に設立されたオープンソースソフトウェア事業を原点とし、社会課題を解決するソフトウェアサービスおよび複数の異なるシステムを1つに統合したり連携させる「システムインテグレーション」を提供するテクノロジー企業だ。代表取締役社長の喜多伸夫氏は、事業戦略として「SaaS・サブスクリプション事業、APIソリューション、そして生成AI活用による事業強化という3つの領域に注力する」と述べている。

特に、クラウド上でソフトウェアやアプリケーションを提供するビジネス業界で、サブスクリプションモデルを取り入れた「SaaSサブスク事業」に生成AI活用を組み合わせた新サービスを提供するという。具体的には、クラウドワークフロー「Gluegent Flow」に新機能を追加し、企業のDX推進の加速や複雑化した稟議申請や請求管理業務などの効率化をを図る予定だ。
同社執行役員の平松寛司氏は、新サービス開発の背景について、日本企業が直面しているDXの課題に触れた。経済産業省の2018年のDXレポートでは、レガシーシステムの刷新が遅れると年間12兆円の経済損失が発生するとされる「2025年の崖」が警告されている。また、2年後の調査では、9割以上の企業によるDXへの取り組みが途中段階にあると判明している。

特に、国内企業の9割以上を占める中小企業のDX状況については、2019年から2023年にかけて、アナログからデジタルへの移行は進んでいるものの、ビジネスモデルの変革には至っていないケースが多いと指摘。「主な要因は、デジタル人材と予算の不足にある」と述べた。

「この課題の解決に向け、『Gluegent Flow』を通じてワークフロー領域におけるデジタル活用を促進し、働く人々の能力を最大限に引き出す環境づくりを支援していく」と説明。同サービスは、Google WorkspaceやMicrosoft製品との連携を持つ国産サービスで、シンプルな操作性、柔軟な設計、強力な自動処理機能が特徴だとされている。
また、セキュリティ面では2018年にISO 27017認証を取得しており、安全性も担保されている。「今回の生成AI機能の導入は、デジタル人材不足という課題に対応し、スキルレベルに関係なく、誰でも効率的に業務を遂行できる環境を実現することを目指している」と平松氏はサービスがユーザー企業それぞれのニーズに応じた機能拡張に対応可能であることを強調した。 

同社開発担当の川瀬翔大氏は、3つの新機能を紹介。一般ユーザー向けに2機能、管理者向けに1機能が導入されるという。一般ユーザー向けの「タスク要約機能」は、「要約」アイコンをクリックすることで、各タスクの重要な情報を簡潔にまとめた要約が表示される。これにより、ユーザーは各タスクを詳細に確認せずとも、優先度や緊急度を迅速に判断できるようになる。多くのタスクを処理する承認者にとって、時間の節約と効率的な業務遂行に大きく貢献することが期待される。

また、「スマートモデル検索」は、自然言語での検索を可能にし、ユーザーが必要なモデルを容易に見つけられるようにサポート。従来のキーワード検索の限界を超え、ユーザーの状況や意図を理解した上で適切なモデルを推薦する。さらに、各推薦モデルには選択理由が付記されるため、新入社員や中途採用者でも適切なモデルを選択できるようになる。

管理者向けには「スクリプト自動生成機能」が提供され、複雑なJavaScriptコードの作成が大幅に簡素化される。管理者は、必要な条件を自然言語で入力するだけで、専用のスクリプトが自動生成されるため、技術的な知識が限られていても高度なカスタマイズを容易に行えるようになった。「これらの機能により、日常業務の効率向上とシステムの使いやすさが大幅に改善される」と川瀬氏は述べた。

2024年10月時点で、新機能は開発中であり、11月に限定公開し、フィードバックを収集して機能改善に活用したうえで、2025年1月に正式版をリリースする予定であるという。