11月9日(土)、千葉県の高円宮記念JA夢フィールドにて「Sport in Life ウォーキングフットボールDay」が開催された。こちらはスポーツ庁主催のイベントで、誰もがスポーツを楽しめる社会を目指すプロジェクトの一環として行なわれた。

同イベントでは、“走らないサッカー”である「ウォーキングフットボール」の大会が開かれた。ウォーキングフットボールは2011年7月にイングランドで行われた高齢者の健康のためのサッカーが原点と言われている。

日本サッカー協会では、サッカー未経験者や運動が苦手な人、障害がある人などでも怖がらずに競技を楽しめるように、「全員歩いてプレー(早歩きも禁止)」「タックルなどの接触禁止」「ヘディング禁止」などのルールを導入している。このルールにより、今回の大会は合計16チーム90名で競い合ったが、そのメンバーは4~71歳の男女と幅広い年齢層になった。

今回の大会にはゲストとして元サッカー日本代表の岡野雅行さん(写真右から1人目)、佐藤勇人さん(写真右から3人目)、元サッカー日本女子代表の小林弥生さん(写真右から2人目)、宮間あやさん(写真右から4人目)が参加。ゲスト4名は対戦しているチームの双方に1人ずつが助っ人として参加して、大会を大いに盛り上げた。

試合は前半5分、ハーフタイム1分、後半5分の形式で行なわれた。ウォーキングフットボールの最大の特徴は走らないことだが、そのことで選手が転がるボールに追いつけない展開も見られた。通常のサッカー以上に正確なパスが要求される場面もあり、この競技独自の面白さが感じられた。

また、フェアプレーを重んじるという特徴もあり、フェアプレーをした選手にはレッドカードならぬ「グリーンカード」が渡されてプレーを讃えられていた。選手たちは盛んに声をかけ合い、宮間さんが頑張って歩いたものの転がるボールに追いつけなかった際も「ナイスウォーク!」とそのプレイを讃える声がかけられた。

大会中に感想を求められた佐藤さんは、こうした雰囲気について「みんなが協力し合っていて、優しさが詰まっている」と感想を述べていた。

大会はゲストの4人の奮闘もあって大いに盛り上がり、岡野さんのシュートが佐藤さんにぶつかってからゴールに入って、佐藤さんのオウンゴールになるという一幕まで見られた。

順位決定戦では最後に残った2チームが同点だったため、足を使ってカップにボールを入れて競う「ミニフットゴルフ」で優勝を決めるという展開に。

見事優勝したのは、追浜クラブ。こちらのチームには古希の選手が2人いるとのことで、ウォーキングフットボールが幅広い年齢層が楽しめるスポーツだということを証明する結果となった。

終了後、ゲストの4人は大会の感想を聞かれると「サッカーの良さとウォーキングの良さがあるので、また自分自身どこかでやれたらなと思いました」(宮間さん)、「性別や年齢に関係なく、無理をしないで楽しめるところが魅力的だと感じました」(佐藤さん)、「サッカーに引退はないと、改めてこのウォーキングフットボールで感じることができました」(小林さん)、「現役時代は走るタイプで走るのも辛かったけど、走れないのも辛いですね。いろんな人とコミュニケーションしながらサッカーができるのは楽しいと思いました」(岡野さん)などと、口々に競技の楽しさと可能性を語っていた。

スポーツ庁の担当者も盛況だった大会を受けて、ウォーキングフットボールを普及させるため、まずは今回の取り組みの成果を広めていきたいと語った。