日本人にとって定番の旅先のひとつであるタイ・バンコク。

王宮やワット・ポー、ワット・アルンをはじめ数々の有名観光地を抱えるバンコクですが、その近郊にも魅力あるスポットが点在しています。

ガイドブックで紹介されることはあまりなく、知る人ぞ知る観光スポットとなっているのが、バンコク近郊サムットプラカーン県にあるエラワンミュージアム。

独特の世界観と装飾のあまりの美しさから、フォトジェニックなスポットとして少しずつ人気が高まりつつあります。

エラワンミュージアムへのアクセスは、BTSスクンビット線サムロン駅からタクシーで約5分。BTSは2018年中に博物館前まで延伸を予定しています。

・穴場的フォトスポット「エラワンミュージアム」

エラワンミュージアムの敷地は広大で、「ミュージアム」というよりはテーマパークのような雰囲気。タイの人々にとっては信仰の場、パワースポットでもあるため、お寺のようでもあります。

この魔訶不思議な場所を生み出したのは、華僑の財界人、レック・ウィリヤパン氏。タイの美術品や芸術家の保護と、それらの一般公開を目的に造られました。

「エラワン」とは、ヒンドゥー教におけるインドラ神に仕える聖獣のことで、神を乗せて運ぶときには象に姿を変えるとされています。

それだけに、エラワンミュージアムのシンボルは、高さ43メートル、重さ約250トンにのぼる3つの頭をもつ象と、それを支えるドーム。この象はあまりにも大きいため、近くからではその全貌が写真に収まりきらないほどです。

・陶器の装飾が圧巻!壮大な芸術空間

外から見るだけでも大迫力ですが、この内部には目を見張るばかりの独特の芸術世界が広がっています。ドーム内は、地界、人間界、天上界の3つの世界に分かれていて、最も圧巻なのがドーム内のホールに表現された人間界。

淡いピンクを基調とした空間には、龍の姿をした2つの大階段がダイナミックにうねり、天井にはめこまれたカラフルなステンドグラスが彩りを添えています。

そして、よく見ると龍や熊、象などの動物、神像、壁などは、陶磁器の破片のほかに、スプーンやお椀などの完成品を並べて装飾されています。

破片を並べて色や模様を付けるのは世界各地でよく見られますが、すでに出来上がった陶磁器を使うのは斬新。タイの伝統工芸品であるベンジャロン焼と、中国から輸入された陶磁器が使われているといいます。

離れて見ると、力強くダイナミック。近づいて見ると、繊細でゴージャス。色鮮やかな陶器の数々による表現豊かな装飾は、見ていて飽きることがありません。

・異なる宗教と文化の様式が混在

ホールの天井を支える4本の柱は、それぞれ大乗仏教、上座部仏教、キリスト教、ヒンドゥー教という、4つの異なる宗教の世界観を表しており、空間装飾も西洋と東洋の様式美が融合した、ユニークなものに仕上がっています。

異なる宗教や文化の様式を混在させた空間には、世界の平和と幸福への願いが込められているのだとか。

龍をかたどった階段と並んでこのホールを印象づけているのが、天井に設けられた色鮮やかなステンドグラス。

このステンドグラスは、ドイツ人アーティストが手がけたもので、ドイツで制作され、タイに運ばれてから組み立てられました。

世界の屋根を表しているというこのステンドグラスに使われているのは、青、赤、黄、白の4色。それぞれ、世界を表す4つの要素である水と火、土、風を表しています。

面白いのが、このステンドグラスは古いビール瓶で作られているということ。グリーンはハイネケン、ブラウンはシンハーなど、世界的にも有名な銘柄の空き瓶が用いられています。

・天上界を表す仏像の間

ホールからさらに狭い階段またはエレベーターをのぼると、そこには天上界を表す仏像の間が広がっています。

象のお腹の中にあたるというこの空間は、静寂の世界。天井には宇宙を表すテンペラ画が描かれ、半円状に歴史ある仏像が取り囲む幻想的な空間です。

この部屋にいたるまでのらせん階段の壁に描かれた壁画も美しく、神秘的な光景の数々に魅了されます。

まるで神話の世界に迷い込んだかのような気分になれる幻想空間、エラワンミュージアム。

まだ外国人観光客にはあまり知られていないため、意外なほどに静かですが、SNSで人気に火が付くのも時間の問題かもしれません。

「エラワンミュージアム(The Erawan Museum)」
住所:99/9 Moo 1, Tambon Bangmuangmai, Amphur Muang, Samutprakarn 10270
http://www.erawan-museum.com/eng/main.html

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