フランスのコート・ダジュール地方、ニースとマントンのあいだに位置するモナコ公国。
地図で見ればフランスの一都市のようですが、れっきとした独立国家。世界で2番目に小さく、国連加盟国としては最小のいわゆる「ミニ国家」です。
モナコと聞いて思い出されるのが、「20世紀最大のシンデレラストーリー」といわれたグレース・ケリーの存在ではないでしょうか。
気品に満ちた美貌を武器にハリウッド女優として人気絶頂だった1956年、モナコ大公レニエ3世との婚約を発表し、女優業を引退。モナコ公妃となる道を選びました。
結婚後、当初は異国での公妃という役割に戸惑いながらも、3人の子どもに恵まれ、モナコ公妃として精力的に活動していましたが、1982年、自動車事故によりわずか52歳の若さでこの世を去ります。
それから35年以上が経った今も、ドラマチックな人生を送ったプリンセスの面影は世界中の人々を魅了しています。
そんなグレース・ケリーゆかりの地であり、モナコ屈指の観光スポットでもあるのが、「モナコ・ヴィル」と呼ばれる旧市街に建つモナコ大聖堂。
西ヨーロッパの聖堂としては少々珍しい姿をしたこの大聖堂は、1875年、ロマネスク・ビザンチン様式で建てられました。モナコはその国名を修道士に由来するカトリックの国で、この大聖堂にもカトリックの雰囲気が色濃く反映されています。
内部は、カララ白大理石の司教座や祭壇、ニースの画家ルイ・ブレアによる祭壇画、黄金色に輝くモザイク画などが見られます。
1976年に設置された大型のモダンなパイプオルガンも印象的。
宗教祭のコンサートや9月から6月までの日曜日に開催されるミサでは、美しい音色や歌声が待っています。
モナコ大聖堂は公室の公式行事が行われる場所でもあり、1956年4月19日にはレニエ3世とグレース・ケリーの結婚式が行われました。この世紀のウェディングはヨーロッパ各国で生中継され、世界中の人々がその華々しい光景を目撃したのです。
そして1982年9月18日には、グレース・ケリーの葬儀が執り行われ、各国の王族や要人のほか、ハリウッド俳優などそうそうたる顔ぶれが参列しました。
モナコ大聖堂は、グレース・ケリーの人生で最も輝かしい瞬間の舞台となっただけでなく、その人生の幕引きの舞台にもなったのです。
祭壇の裏には歴代の大公の墓所があり、グレース・ケリーと2005年に亡くなったレニエ3世の墓石もあります。
グレース・ケリーが眠る場所には彼女の本名である「Gratia Patricia」の墓碑銘が。今も絶えることのない花は、ドラマティックに生きたプリンセスが今なお人々に愛されていることを示しています。
モナコに咲く永遠のバラ、グレース・ケリー。モナコを訪れる際には、その儚くも輝かしい人生に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
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