大相撲の春巡業の際、土俵上で倒れた京都・舞鶴市長に救命処置を行った女性看護師に対し「女性の方は土俵から降りてください」と、不適切なアナウンスが行われた問題を、10日放送の『とくダネ!』が特集。「人命救助か?」 「伝統優先か?」の議論がされる中、土俵上の“女人禁制”について各地の市長から賛否両論の声が上がっていることが分かった。

 4日、京都府舞鶴市の多々見良三市長が土俵上で倒れた時、救護にかけつけた女性看護師に“女人禁制”を理由に土俵から降りるよう促すアナウンスがされた問題が、いまだ波紋を広げている。8日、巡業が行われた静岡市の田辺信広市長は挨拶時に「全国の市長が土俵の上で挨拶できるよう21世紀の中で変えていただきたい」と、相撲界の伝統への改革を訴える一方で、昨日、巡業が行われた静岡・掛川市の松井三郎市長は「土俵に立たせていただいて大変感激している。こけないように倒れないように、万が一の時も男性のお医者さんが近くにいます」と、失言とも取れるような挨拶を行って物議になるなど、舞鶴での一件をきっかけに騒動はいまだ収まっていない様子だ。

なかでも、6日に行われた兵庫・宝塚での巡業では中川智子市長は、女性ということで挨拶時に土俵に上がることを許されず、土俵近くのお立ち台に立ち「(巡業)開催市の男性市長さんは土俵の上に立って挨拶します。女性であるという理由で、この宝塚市の市長でありながら土俵の上で挨拶できない。これは悔しいです。つらいです」「女性の総理大臣が現れるかもしれません。その時に女性は絶対に土俵に上ってはいけないでしょうか」と、挨拶の中で問題提起をし、会場からは賛同の拍手もある一方、伝統を重んじるファンからヤジも飛び交った。

番組では、当の宝塚市・中川市長に発言の真意をインタビュー。巡業時の挨拶で土俵上での“女人禁制”問題を批判したことに「賛否両論はありましたが、『よく言ってくれた』『がんばって』と励ましの声も多かった」と語り、また女性が土俵に上がることに対し「相撲の試合と、賜杯の授与や私の挨拶のようなセレモニーの部分を分けて考えて欲しい。セレモニーなどは男女平等で土俵の上でやったらどうか」と、持論を展開した。

そして、中川市長は「今回のことは正式に相撲協会の理事長と、それを所管する文部科学省の文部科学大臣に要望書を手渡しに参ります。これは議論を始めてほしいというお願いなんです」と、近いうちに大相撲の“女人禁制”問題について議論の場を設けるため、要望書を手渡すことを表明した。

番組ゲストの相撲ジャーナリスト・大見信昭氏は宝塚市長の発言を受け「いまのままの大相撲を愛する方もたくさんいる。そういう人たちの声も聞いてほしい気がする」と、宝塚市長の発言に異論を述べた。また相撲レポーターの横野レイコ氏は、昨日、支度部屋で話した現役力士たちの話として「何年か一度、相撲界もこういう論議になりますけど、いずれ議論はあってもいいと思うけど、この(4日に起きた)舞鶴の問題と乗っかって討論するのは抵抗がある」と、困惑していることを明かした。

なお、今回の騒動を受け、相撲協会の芝田山広報部長は「女性を差別していることでは絶対ない」「今回起きたことと、女性を土俵に上げる上げないのは別の問題」とコメントしている。