先週末の台風12号には驚いたねぇ。その風雨の強さよりも、あの進路に。

オレたちの商売ってのはある面、自然現象次第ってことなンだ。ちょっと強めの風が吹けば、次の日以降、魚の入荷はバッタリと少なくなるし、都市部にでも直撃、風雨が強くなれば、スーパーや飲食店にも来客が減り、売り上げも芳しくなくなる。

だから天気予報には魚屋みんな関心があるンだ。

普通、台風といえば沖縄に到達してから、わが日本列島に沿って右にカーブをしていくというのが相場だったと思う。ゴルフでいえばスライスが当たり前だったのが、ドフックしやがったのが、今回の台風12号だった。

いつも天気、特に台風には関心を持ってきたけど、こんな動きをする台風はほとんど記憶にない。地球温暖化から始まって、気候変動という言葉が一般的になって久しいが、そろそろ本腰を入れて対応する時が来てるのかもしれない。

先般、とある国会議員との与太話の中で「もう地球環境が変わってしまっている、という前提で議論をする時期になっているのではないか?」なんて話がたまたま出てきた。どうも国とか政府となると「科学的根拠が……」とか云々されてしまい、肝心の話が先に進まない。と言っていた。

「(今回の)台風12号について『前例のない』、『今までの経験が役に立たない』と繰り返す報道が続いている。確かに、今までの風水害などとは、今年のものは異なっていると、多くの人が感じている。しかし、だからこそ、今年のこの災害の連続は「未来への警鐘」が鳴り響いていると受け止めるべきだろう」

まさに同感だ。50年以上前のインフラをもとに、我々の現在の暮らしが成り立っているといっても過言ではないと思う。

それなのに、その専門職の現状は「全国の地方自治体の土木部門職員は、平成8年をピークに減少し続け、平成27年には13万9千人と、20年前の約6万人減、10年前と比較しても2万人以上の大幅な減少となっている。20年前に比較すると、土木部門職員は3分の2の人員しか配置されていないのである。」という有様だ。

先週、拙稿では隅田川にかかる橋について書かせてもらった。その中には上物の橋は架け替えられたが、その土台は140年以上経った今でも使われているものもある。橋そのものにいたっても70〜80年使い続けられているものはザラにある。それが大都会東京のど真ん中でだ。普段生活をしていると、そんなことには誰も気付くことはない。当たり前過ぎて関心すらなくなっている。

「政治の世界で公務員叩きは票になると評価されたのか、こうした削減が問題視されることもなく、むしろもっと削減すべしという方向で進んできた。しかし、実際には、すでに土木関係職員はこの20年間で大幅に削減され、町村部では土木技術職の職員がほとんどいないとう惨状だ。現場に専門知識を持っている人材が少なくなっている結果、ますます負担が重くなると同時に、対応に遅れや支障を引き起こす可能性も捨てきれない」

結局は政治の問題だが、それ以上に地球の環境が変化してきてしまっている。今までに経験のないという言葉が、当然のように使われるようになった今、政局に汲々としている暇はないのだと思う。

もういい加減に、未来100年を見据えた地に足をつけた政策議論をやってほしいものだ。このままでは100年も使えるこのような素晴らしいインフラを残してくれた先輩方に、申し訳なさすぎるし、それらもすでに限界に近付いている。

野党、与党を問わず、特に国政に携わる議員には今一度褌を締め直し、政局に偏らずに、地味であっても未来をしっかりと見据えた政策議論を展開してほしいと心より願う。

問題が起きてから対処するのも政治だが、問題を未然に防ぐのも政治だ。でも未然に防いだら目立たねぇからなぁ。

国民各位もしっかり勉強をして、その本質をしっかりと見抜けるようにならンとね。それはすべて自分たちの平和な日常にかかわってくるのだから。