こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。
先日、日本政府の外交斡旋の成果で、シリアで拘束されたジャーナリストの安田純平氏が釈放されて、日本に帰国しました。菅官房長官の発表によると、日本政府は身代金を支払わなかったようです。
このニュースに各左派のメディアは安田氏を「英雄」と讃えるようなムードで日々、取り上げていますが、彼のどこに「英雄」らしさを感じるのか、理解に苦しみます。日本政府が介入して、安田氏を助ける動きを取っていたにもかかわらず、左派層はあたかも安田氏が自らの力で無事に帰国することができたかのように神化しています。
また違和感を覚えたのが、安田氏が自身の家族と日本国民を騒がせたにもかかわらず、「ご心配やご迷惑をおかけして、申し訳ありません」「ありがとうございました」の一言もなかったことです。それどころか、日本政府の介入について、不要であったようなニュアンスで「望まない解放のされ方だった」と横柄な態度を取っています。
これについては、中国人の私ですら、日本人としての礼儀もないのか、と感じて不快に思いました。普通に常識のある方なら、同様に「何様だ!?」という感情を抱いたかと思います。
そして、この一連の騒動に違和感を覚えるのと同時に、安田氏にとって何が「望まれない解放」であったのか、発言の意味を考えてみました。一つ一つ、矛盾している言動や様子を細かく分析すると、いろんなことが判明しました。
■皮膚病や視力低下なし!? 拷問地獄で「健康面に問題がない」はあり得ない
安田純平氏がマスメディアに自白した”拷問地獄”について、中国共産党の拷問のニュースを日常的に積極的に収集する私には、たくさんの“ダウト”が見えてきました。
彼は、「24時間、身動きも許されなかったり、8カ月間、水浴びもさせてもらえなかった」という。また。「足を延ばして寝ることができず、幅が1メートルしかない部屋で、指を曲げる音を立てることも許されなかった」と発言している。『ゴゴスマ』(TBS系)では「個室にほとんど照明がない」という情報もありました。
そうした苛酷な環境にあったはずなのに、外務省や警察当局は、安田氏の「健康面に問題がない」ことを確認しました。
そのような環境を聞き、私がすぐに思い浮かべたのは、中国共産党に監禁された民主活動家の故・李旺陽氏のことでした。
1950年生まれの李旺陽氏は、中国で一生、地道な民主活動を続けた人です。1983年、中国の民主化のために新聞紙を創刊したり、民主活動組織の運営を行いました。1989年、天安門事件に学生を支援するために「反革命分子」として逮捕され、それ以降は頻繁に監禁されます。
中共政府の常套の手口として、政治犯を「小黒屋」(狭くて真っ黒の部屋)と呼ばれる特殊な檻に入れます。さらに、部屋の中に国共産党の正当性と偉さを讃えるドキュメンタリーを繰り返し再生して、強制洗脳を行います。李氏は長期監禁の影響で、心臓病、甲状腺機能亢進症、左目が失明、両耳がほとんど聞こえない、筋力の著しい衰えなどが有りました。李旺陽氏の事情について、興味のある読者の方はぜひ検索してください。
2012年、私がまだ中国に住んでいる時に、VPNを通じて香港のネットニュースを観ました。まさに安田純平氏が自白した“拷問地獄”を再現したら、そっくりあのような感じになるでしょう。李旺陽氏は「檻」に囚われていました。面積は2~3平方メートル、安田氏の自白より若干広かったです。
それでも、足と腰が長時間に伸ばせないまま、監獄の中に真っ黒で照明が許さなかったのです。その結果、李旺陽氏は両目が長期間に渡り瞳孔が拡大したままの状態で、拡大収縮筋肉が劣化で、ほぼ失明の状態になっていました。檻の中で音がなく聴力にも影響があった、香港の医者が解説していました。
また、長期間に渡り足と腰が伸びなかったので、運動もできず、血流が悪くて体調が崩れて病院に搬送されましたが、「檻」から出る際に自力で歩けない状態となり、車椅子に座らせられました。肉体のダメージ以外では、狭い籠に閉じこめられた時に、人間は心理的恐怖感が精神面に大きなダメージになると言われていました。
もう一つ、10数年前に私の知り合いの中国のおじさんが、犯罪で刑務所に3ヶ月間過ごしましたが、監獄には長期間、日光が差し込まず、毎日シャワーを浴びても性器と足に皮膚の潰瘍がありました。それは紫外線による自然の殺菌が足りないことによるものでした。
そして現在、新疆ウィグル自治区のウィグル人収容所では、監獄が狭く、シャワーする時間が少ないという原因で皮膚病になり、蛆が出るくらいの拷問地獄が起きています。しかし、安田純平氏は「8カ月間、水浴びもさせてもらえなかった」という自白に、なぜ皮膚病を患わずにあのように顔色も良く肌も比較的に艶があったのか? どのような恵まれた環境の拷問地獄であったかと問い詰めたくなることだらけです。さらに、なぜ安田氏が自白した状況と上記の例はそっくりなのに、彼はピンピンして歩け、そして視力がはっきりしているのでしょうか。
■病み上がりでゴボウを食べる不思議、紛争地なのに小鳥のさえずりが?
また、イスラムに改宗させるように「ウマル」と改名させられたり、イスラム教のことを刷り込む精神的な拷問も自白しましたが、ほとんど、中国共産党の監獄の状況と一致しています。李旺陽氏の場合はこのような「檻」に一度入ったら3ヶ月間出られませんでした。繰り返して総計20回くらい入れられました。一方、安田氏は3年間にも連続的に「檻」に監禁されていると証言しているのに、無傷の状態のまま健康でいるのが変だと言わずにいられません。
そして帰国して、おにぎりときんぴらごぼうを食べたと家族も喜んでいましたが、「檻」に監禁されている拷問地獄にあった人が消化に悪いごぼうを食べるというのも、かなり不思議だと感じました。医学的な知識が素人の私でさえ大いに違和感を覚えるのですが、医学専門家たちはさらに安田氏の自白に失笑するでしょう。
安田氏が述べた地獄拷問は、まるで中国の拷問のエピソードを自分の体験にしたような「作り話」に思えます。体に拷問された証拠が一切残らない状態で、医学的な証明はできません。
安田氏は以前の動画で自身のことを「韓国人です」と述べましたが、先日は「他の囚人(監禁被害者)が、釈放された後に『あそこにニュースで上がっている人質の日本人がいる』と言われたら、私の監禁場所が世間にばれて(犯行グループが)攻撃されるかもしれない」と説明しました。そのため「『韓国人だと言え』と言われた」と弁解しましたが、彼を助けるのは「日本政府」の外交力で、彼が動画で喋ったのは「日本語」であるという、矛盾に満ちたものでした。
加えて、その動画の背景に子供がはしゃいでいる声や、鳥のさえずり、などが聴き取ることもできたので、とても紛争地のように見えませんでした。鳥の生態に詳しい方ならわかるかもしれませんが、あの動画で囀っているような小鳥は、餌が豊富で安全な場所を好んで住む傾向にあり、紛争地で「快楽なさえずり」をするとは考えづらいのです。
このように考察してみると、世間が持ち上げている「戦地ジャーナリスト」は胡散臭さにまみれている気がします。ややもすれば、日本の国税の3億円を騙し取る手口ではないかと推測します。彼が「望まない解放のされ方だった」の発言は、3億円騙し取る計画が失敗し、悔しい本音をついポロりと漏らしたのではないかとも考えられても仕方ないのではないでしょうか。
今後の安田純平氏の動向にも注目して、同時に左派層の過激な擁護や神化もどう変化しているか見守っていきたいと思います。
【追記】
安田氏の盟友・常岡浩介氏がこんなコメントをワイドショーでしていたことが判明しました。
常岡浩介氏「安田さんと同じくヌスラ戦線に拘束された人によると、ヌスラの幹部から『お前の国から身代金を獲って山分けしようぜ』と誘われたことがある。同意すると、待遇が良くなり幹部と食事もできるようになった」
よもや、安田氏の監禁が「自作自演」でないことを祈りたいと思います。