こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。
とても残念なお知らせですが、今回のコラム連載で最終回になります。
今回のテーマは、中国人の私でさえ厳しいと感じる、日本における言論弾圧についてです。これは自民党安倍政権による国民への表現の自由の弾圧についてではなく、自称リベラル・ポリコレなど、左派層のファシストが一般の日本人へ行っている表現弾圧のことです。
さて、保守系の発言がなされる際に、はたして大手ポータルメディアは耳障りのいいリベラル記事と同程度の基準で掲載をしているのでしょうか。一番悩ましいのは、コラムを大手のサイトに売り込んでも、おそらく「差別的表現の恐れがある」、「ネトウヨ系」と尻込みし、掲載する確率は非常に低いものと思われます。
今年、左派層が自民党の杉田水脈議員の「新潮45」に投稿したLGBTにまつわる論争の文章を取り上げ、一部の文字を切り取って、杉田議員を攻撃し続ける風潮となり、やがて「新潮45」は休刊に追い込まれてしまったことがありました。
その時に、リテラや、朝日新聞、毎日新聞など、左派メディアが一斉に杉田議員への攻撃のコラムを掲載していました。その中でも、一番印象に残っているのはAERA dot. という朝日新聞傘下のニュースサイトに、とある左派のコラムリストが杉田議員の顔を中国の相学で「幸せになれない顔」と叩く、他人の顔面への差別的表現のコラムを掲載しました。
https://news.nicovideo.jp/watch/nw3713971
そのコラムは問題となり、すぐに削除されましたが、当時は複数の大手ポータルがすでに転載しました。私が特に怒りを覚えたのは、なぜ私や千葉麗子さんなど、他の連載作家の理論性、情報性、知識性の強い反論は転載されず、朝日新聞系の顔面差別コラムを転載したのかということです。いったいどちらが「差別的」なのでしょう? SNSなどネット世論における保守・リベラル比率を鑑みれば、右寄りなコラムを排除する意図があるとしか思えないのです。
上記以外にも、私は他の仕事をする時に、表現の自由が圧迫されたエピソードを紹介します。私は、とある漫画雑誌で中国のヤバい事情が日本を危害するようなテーマの漫画を書いてます。こちらのサイトにも同じ記事を投稿しました。
中国メーカーの日本工場で「なりすましMADE IN JAPAN」が横行か?”静かな侵略”で就労移民が押し寄せる
https://news-vision.jp/intro/189063/
上記の内容を漫画化しようとネーム(※:漫画を描く際に、コマ割りやコマごとの構図、セリフなどを下書きしたもの)を仕上げ、編集担当者に渡したら、いくつの「削除要望」の修正が入りました。内容は以下の通りです。
1)「この中国企業は日本で工場を設置したのに、従業員はほぼ在日中国人を採用し、そして品質は中国製と変わらない」というセリフについて。
「これは危険な表現です、ほかの言い方にしましょう」と要求されました。その「危険」とは、在日中国人の手で作った商品は必ず中国品質と決め付けるのは「人種差別」と批判される可能性があり、編集部が攻撃されないように無難な言い方に変更しましょうということです。中国人の手により生産され、品質が良くても悪くても中国製、という事実に基づいた表現は自主規制されました。
2)次のコマに「この中国企業は日本人を雇用せず、日本にとってほとんどメリットはないじゃないか」というセリフも削除、変更に要求されました。
理由は、外国人が運営する企業が日本の国益においてメリットとデメリットと判別するのは日本人中心的、外国人企業への差別的な表現として、編集部が攻撃されないように無難な言い方に変更しましょうということでした。
私は2018年に入り、この自主規制が神経質になっていることを痛感し、編集担当者に抗議したところ、近年、「ヘイトスピーチ規制法」の成立で日本中の出版社で自主規制が一層強化された、と説明してくれました。
そのため、私の漫画でも本来表現したい部分がボヤかされたりカットされたりして、時折、私自身もなにを伝えたか分からなくなってしまいます。この表現の自由への弾圧の空気…。”日本に害を及ぼす中国のヤバい事情”というテーマ自体が差別的な表現として、いつか私もBANされるかもしれません。
これは漫画家・表現者としての私自身に、伝えたいことを筆で表現できなくなるという致命的な状態に陥ってしまうのではと危惧しています。恐らく、今後はさらに厳しくなっていくでしょう。
それ以外にも、私にはTwitterでの日常的な投稿に「孫向文がツイートしたら、すぐに通報します。何をツイートしても通報します」、「皆さん、通報作戦が成果に出たぞ、孫向文が凍結された」と嬉しそうに報告している左派層の人間が何人も存在しています。先日など、単純なるお料理の写真の投稿も「不適切な画像の可能性」だとして、表示できなくなりました。その手口による被害は常套手段のようで、僕だけではなく、百田尚樹さんにも及んでいました。
私は表現者という職業をする上で、窒息するほど規制が厳しい中華人民共和国から逃げました。日本の表現の自由に憧れ、ここで自分の舞台を広げようとして、今までのびのびとやってきて、生きがいに感じていました。
しかし、残念ながら私と同じく日本人のクリエーターたちは、自分の表現が、自称リベラル・左派層に追い込まれて、生存の空間が狭くなっています。これは決して看過してはならないことだと思います。激しい言論統制が行われるのならば、共産国と変わりがありません。受け手である読み手にも言いたいことが直接伝わらず、かつ、同じような表現ばかりが並ぶようなものに面白味を感じるでしょうか。
なお、表現の自由に関するコラムは、こちらでも以前に投稿しています。もう一度読んでいただけたら幸いです。
同じ誘拐を扱った『幸色のワンルーム』は放送中止で『万引き家族』はなぜ推奨?歪んだ”ポリティカルコレクトネス”の実態
https://news-vision.jp/intro/188543/
中国共産党の言論統制とそっくり?表現の自由を封殺する「政治系YouTubeチャンネル凍結」への疑問
https://news-vision.jp/intro/188444/
毎週、いろいろな日本メディアが報道しない中国、アジア、世界情勢情報を皆様にお届けしたいのですが、残念ながら当連載はここまで。以後は、私のYouTubeチャンネル「孫向文情報局」で連載します。引き続き、皆様、ぜひチャンネルのご登録、応援よろしくお願いします。
今までご愛読を頂き、ありがとうございました!