ドイツの西の端、ベルギーの国境まですぐそこという場所には、「アイフェルの真珠」と称えられる美しい古都モンシャウがあります。

ドイツ西部とベルギー東部にまたがるアイフェル山地の大自然に囲まれた秘境の地で、ぽつりと佇む小さな町。日本ではまだ無名の小さな町ですが、その美しい旧市街や周辺でのハイキングを楽しみに、ドイツや隣のベルギー、オランダから多くの人々が訪れます。

町に足を踏み入れると、目に飛び込んでくるのは美しい木組みの家の数々。街全体の印象としては、「カラフルで可愛らしい」というよりは「色味はありながらもシックな雰囲気」という表現がぴったり。

これら木組みの家のほとんどは、17世紀から18世紀にかけて建てられました。町ではなんと300軒以上もの建物が文化財に指定されており、もはや文化財でない建物を見つける方が難しいかもしれません。

町並みの中でひときわ目を引くのが「赤の家」。その名の通り壁が真っ赤に塗られ、ここだけ独特な雰囲気を放っています。家は織物業で成功を収めた豪商ヨハン・ハインリヒ・シャイブラーが、自宅と仕事場を兼ねて18世紀に造らせたもの。

内部は博物館として公開されており、豪華な部屋の数々やぜいたくな食器類からは当時の優雅な暮らしぶりが容易に想像できます。特に入り口の吹き抜けはまるで古城のようでもあり、この小さな町にここまでの豪商が住んでいたのかと驚きを隠せません。

そしてモンシャウのハイライトとなるのが、町を流れるルーア川に沿ってならぶ木組みの家々。川にややせり出して横一列にきれいに並んでいる様子からは、凛とした潔さも感じられます。筆者が訪れたのは秋も深まった11月でしたが、夏には心地よい川のせせらぎをも同時に楽しめるでしょう。

細い道が入り混じる旧市街を散策していると、少し場所を変えるだけで町の雰囲気がガラリと変わることに気が付きます。白壁の家ばかり並んでいたと思ったら、灰色の壁が並ぶどこかメランコリックな一角があるなど、町が見せる表情も様々。

またモンシャウで訪れたいのが、クリスマスの約4週間前から開催されるクリスマスマーケット。規模は小さいながらも、広場の中心に立つツリーを囲むようにお店が並ぶ様子は、まさにドイツの正統派クリスマスマーケットと言えるでしょう。美しい旧市街が控えめに煌めく様子も幻想的です。

山に囲まれたドイツとベルギーの国境という、まさに秘境の地にかくれた小さな町モンシャウ。古都と呼ばれるにふさわしい美しい街並みは、いまも色あせることなく輝き続けます。

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