”福島復興の顔”と呼ばれた東電副社長が、こともあろうに被災者女性と男女の関係を結ぶというスキャンダルが発覚した。だが、そこから一転、女性が活動家であることが判明し、さらに5000万円の恐喝も明るみに出たことで「ハニートラップだったのでは」などの憶測を呼び物議をかもしている。

東京電力ホールディングスの石崎芳行元副社長(64)が福島県に住む被災女性と不倫関係にあると、5日発売の週刊文春(文藝春秋社)が報じた。石崎氏は副社長などを経て、13年に福島復興本社・初代代表に就任。東京生まれながら、第二原子力発電所長時代(07年)から福島暮らし。富岡町の社宅から発電所まで社用車で送迎される立場にありながら4キロの道のりを歩くなど、生真面目な性格で知られ、地元の信頼も厚かったという。

関係を持った相手は、50代女性のBさん。福島と東京を拠点に被災地支援を行う運動家で、主催する団体はマスコミにも頻繁に取り上げられ「日本復興の光大賞」を受賞したこともある。彼女は離婚後、故郷・南相馬に戻り、塾経営で2人の子供を育てた”独身”の身であった。

文春に同スキャンダルを持ち込んだBさんの言い分はこうだ。震災後の15年7月に石崎氏と出会い、翌16年の4月にはBさんは抵抗したが腕力で押切られ男女の仲に。月に1度の逢瀬を重ねていくが、1年半後の17年夏には石崎氏が電話にも出ず、メールの返信もなくなり、関係がこじれてしまう。Bさんは「利用された」と感じ、「誠意のない対応」をする石崎氏と、彼を要職に就ける東電にも怒りが込み上げた。そして、和解交渉をするもうまくいかず、今回の発表に踏み切ったのだという。

「生涯をかけて福島のためにしっかり力を尽くす」と語っていた東電の最高幹部にあるまじき禁断の恋愛。とはいえ、50代と60代自由恋愛をなぜわざわざ被災地女性の側から雑誌に告発する必要があるのかという違和感も感じなくはない。ところが、女性の告発を受けて、文春が石崎氏に取材をしてみると、窮鼠猫を噛む。同氏は玉砕覚悟ですべてをぶちまけたのだった。

■風呂上がりを盗撮?業界紙で原稿料100万円など法外な”援助交際”

石崎氏は「一時はお互いに恋愛感情を持っていた」としながらも、当初からBさんが「金銭面でお困りだった」ことを指摘。「一千万の借金がある」と打ち明けられ「私に対する賠償を認めるよう東電に指示してほしい」と、賠償ルールを無視した個別の優遇を懇願されたのだという。もちろん石崎氏は断ったが、結局、電力関連団体などを使って法外な謝礼を支払うという「支援」をしていくことに。業界紙である『電気新聞』に100万円もの原稿料を支払うように指示したり、またBさんが出版に関わった放射線についての小冊子を大量に購入したこともあったのだという。

そして、17年11月、2人の関係が悪化するとBさんの要求は「恐喝」へとエスカレートしていく。Bさんは、石崎氏の風呂上がりを盗撮した写真を送りつけ、週刊文春やFRIDAYなどマスコミへの交際リークをチラつかせ、脅し始めたという。さらに「あなただけでなく、東京電力、家族、親戚、子孫の代まで汚名を背負わせる」などと脅嚇し、「口止め料、精神的慰謝料5000万円で手を打ちましょう」とするメールを送っていたのだ。

この報道にSNS上では「膿を出し切った東電からまた膿が出たよ」「すげえ癒着。東電の原稿料100万とか美味しすぎだろ」など東電への批判も見られたが、大半は「キレイごと言ってた人が恐喝とか!? 結局、最後は金目かよ」「活動家の収入源ってこんな感じなのか」「長期目線のハニートラップじゃないの?」など厳しい声が飛んでいた。

震災から7年。超巨大国有企業の杜撰すぎる賠償の裏に見え隠れするのは、弱者の仮面をかぶって寄生する「活動家」の姿か。現在も5万人以上いるという、避難生活を送る方々にはとても聞かせられない話である。