元自衛官でもある中谷真一衆議院議員(41)が「日報問題」について、現場レベルでの危機を提起し、理解、賛同の声が多く上がっている。

中谷氏は12日の衆院安全保障委員会で「日報には警備要領、弾薬の数、隊長・副隊長の分刻みの行動予定、週間の業務予定表が書いてある。私がテロリストだったら最も欲しい情報です。国民は本当に自衛官を危険にさらすことを望んでいるんでしょうか」と、日報の公開がもたらす危険に警鐘をならした。さらに「陸上自衛官は国民の皆さんの要請により、イラク派遣の任務に邁進した。問題の本質を見ずに自衛隊を悪者扱いする議論は良くない」と、揚げ足取りに終始する野党らの動きに違和感を訴えた。

中谷氏は元陸上自衛隊が誇る精鋭部隊、第一空挺団の出身。それゆえ、現地部隊の死活を分ける日報が、他の行政文書同様にあたかも「情報公開」こそが民主主義の正義であるかのごとく、公に晒されることに危機感を持ったのだろう。

この悲痛な訴えには、ソーシャルメディア上でも「ふだん”自衛官を戦地に送るな”とか言いながら、日報公開で自衛官を死地に追い込もうとしてるのは野党とマスコミだよね」「もろ機密情報じゃん、なぜわざわざ他国に手の内見せるの? テロリストの味方をしたい国会議員にいるのか」「制服組が国会に立てない日本では中谷氏の提言は貴重だな」などと共感する声が多数上がっていた。

■日報公開は日本だけ?国際標準では”機密情報” 

そもそも、日報とは国際的には「戦闘速報」として位置づけられるもの。命令を受けて活動する現地の自衛隊部隊が、上級部隊に対して報告する定期資料の中で、毎日報告されるものを指す。上級部隊はこれを見ながら状況を判断して方針などを決め、食料や装備品など補給支援をする。欧米では30〜50年後の完全開示となっているが、日本では情報公開法のもと、行政文書として公開している状況である。

日報は1日約70ページ、1週間で約500ページにも及ぶ。これを開示請求のたびに、わずか数名の部員が「不開示情報の妥当性」に照らし合わせながら、複数の部署に問い合わせして、黒塗りの「のり弁」にしていくのだという。4月下旬に公開される日報は、なんと1万4千ページ。「戦闘」という記述があったかどうかを確認し、「これは戦闘地域だ」と叩くために請求されたものである。

辻元清美議員(57)らの開示請求に「存在しない」としたのは、許されざる隠ぺいであり、管理体制が問われるべきだ。しかし、事が自衛隊の生死にまつわる機密であり、請求の簡単さに比して、あまりに膨大な時間を要する煩雑さを考えれば、日報公開の問題点を再考せざるを得ない。野党の日報問題の追及が生むものは、結局、性急な憲法改正への期待だけだと感じるのは当編集部だけだろうか。