「せっかくマレーシアに行くなら、ガイドブックに載っている有名スポットの観光だけじゃなく、現地の人と触れ合えるディープな体験をしてみたい!」
そう思うなら、マレー半島南部ジョホール州にある「パリット・ブギス村(Parit Bugis)」を訪ねてみるのはいかがでしょうか。
パリット・ブギスは9つの村から成る共同体で、1978年よりホームステイプログラムの受け入れを行っています。当初は3家庭のみで始まったというホームステイ受け入れプログラムですが、現在は村を上げて取り組んでおり、主たる産業となっているとのこと。
実際にホームステイをする際に与えられる個室を見せてもらいました。ホテルのような豪華さはありませんが、室内は心地よく整えられおり、親戚の家に泊まりに来たような気分になれそうです。
ホームステイの料金は意外と手ごろで、1泊2日パッケージが1人200リンギット(約6,000円)、2泊3日パッケージが1人300リンギット(約9,000円)~(※料金は予告なく変わる場合はあります)。
ホームステイでは、ホストファミリーや村の人々に混ざって農作業のお手伝いをしたり、釣りをしたり、ご飯を食べたりと、普通の旅行ではできない体験ができるそうです。
また、宿泊を伴うホームステイのほか、伝統料理を食べて伝統芸能のパフォーマンスを体験できるワンデー・パッケージ(宿泊なしの訪問)もあります。こちらは基本、土日のみ。
今回筆者は宿泊はしていないのですが、パリット・ブギス村のお宅で伝統料理の夕食をいただき、伝統芸能のパフォーマンスを体験してきました。
台所で夕食の支度をしているホストファミリーの皆さん。この日ふるまってくれるのは、マレーシアのジョホール州やセランゴール州に多く住むジャワ系マレーシア人の名物料理「ナシ・アンベン(Nasi Ambeng)」。
ナシ・アンベンは通常トレイでサーブされ、1トレイを4~5人でシェアして食べます。
ご飯を大皿に平たくよそい、
一回り小さなお皿に好きなおかず(炒めた麺、春雨、野菜、そぼろなど)を盛り付けて、
丸焼きのチキンとともに大皿のご飯の上に載せれば完成です。
これを玄関に近い大広間に運び、みんなで食べるのがマレーシア流のおもてなし。
ちなみに、このナシ・アンベンは日常的に食べる料理ではなく、なんらかのイベントやお祝いなどの際に供されるごちそうとのこと。
大皿を囲んで同じものを分け合うと聞き、日本のひな祭りのちらし寿司を思い出しました。
ナシ・アンベンは、スプーンやフォークではなく、右手(親指・人差し指・中指の3本)を使って食べます。まずは用意されたお水で右手の指先を洗いましょう。
テーブルや座卓はないので、大皿を囲む形でみんなでひざを突き合わせます。
まず鶏肉をつまんでちぎり、あるいは好みのおかずを少量取って、ご飯といっしょにつまんで口へ運びましょう。
実際にやってみると、これがなかなか難しいです。マレーシアの人たちは子どものころから右手を使って食べることに慣れているそうで、とても上手に食べるのですが、初めての筆者はボロボロとこぼしてしまいました。
「初めての人はみんなそうだから、気にすることはないよ。」と慰めてもらいましたが、それでも現地の人たちと同じものを同じスタイルで食べることができたのは、忘れられない思い出です。
食事の後は、屋外に設けられたステージで、伝統芸能のパフォーマンスを観ました。
子どもたちも参加していて、一家総出でおもてなししてくれているのが分かります。
このパフォーマンスは、インドネシアにルーツを持つ「バロンガン(Barongan)」という獅子舞のようなもの。ジョホール州でバロンガンを観ることができるのは、主にバトゥパハ地区のみ。
重さ55キロもあるという虎のお面をつけて激しく動き回る様は、迫力満点です。
伝統のおもてなし料理を食べ、伝統芸能のパフォーマンスを観られるパリット・ブギス村。
宿泊を伴うホームステイをして、農業体験やビレッジツアー、カルチャー体験ができたらもっと楽しいと思うのですが、数時間の滞在でも、ここでしかできない貴重な体験ができるはずです。
最後に、文化・宗教の異なるマレーシアのパリット・ブギス村にホームステイ、あるいは訪問をする際に覚えておいた方がよいことを書いておきます。
・したほうがよいこと
村の人たちにあったら微笑んで挨拶をすること。観光に携わる人たちは、訪問者を見たときに右手を左胸にかざして挨拶をしますが、これは「心からお迎えします」という意味です。
お家や礼拝所に入るときは靴を脱ぐこと。また、女性は礼拝所に入る際は長袖と長ズボンまたはロングスカートを着用すること。
何かを指さす際は右手の親指を使う(人差し指は使わない)こと。
・してはいけないこと
大人の頭に触ったり、人前でキスをしたり、足のつま先で誰かを指したりしないこと。また、相手が西洋的な考え方を持つ人であるとわかっていない限り、握手を求めるのも良くないです。相手が西洋的な考え方を持つ人だと分かっていても、まずは握手をしてもよいか尋ねてからにすべきであり、特に相手が女性の場合は、先方から求められない限り、握手をしてはいけません。
Post: GoTrip! https://gotrip.jp/ 旅に行きたくなるメディア
名称 HOMESTAY KAMPUNG PARIT BUGIS
所在地 No.171, Parit No.4, Jalan Yusof, 83600 Semerah, Batu Pahat, Johor, Malaysia.
公式サイト http://homestayparitbugis.blogspot.com/