ディーカレットホールディングスは1日、傘下で暗号資産(仮想通貨)事業を手掛けるディーカレットの全株式を香港のスタートアップ企業であるアンバー・グループの日本法人である WhaleFin Holdings Japan株式会社に譲渡したと発表した。

アンバー・グループによるディーカレットの買収は、先月13日の日本経済新聞で報じられていた。今回正式に発表された形で、譲渡額は明らかになっていないが、日本経済新聞によると数億円程度とみられるという。

株式会社ディーカレットは、2021年12月27日に株式移転により株式会社ディーカレットホールディングスを設立し、その完全子会社となり、持ち株会社体制へ移行したことを発表していた。「デジタル通貨事業」については株式会社ディーカレットDCPが承継し、「暗号資産事業」を運営する株式会社ディーカレットの全株式を、株式会社ディーカレットホールディングスからWhaleFin Japanに譲渡する運びとなった。暗号資産取引サービスは、今後も継続して利用できるようだ。

アンバー・グループは個人や機関投資家向けに仮想通貨取引サービスを提供しており、企業価値は1000億円を超えている。設立以来累積取引量は1兆ドルを超え、運用資産額は50億ドル超に及んでいるようだ。アンバー・グループ日本ディレクターの李維克氏は、「日本市場参入に伴い、今後の日本の暗号資産業界における更なる発展への貢献と、規制に準拠しつつ、日本の皆様に素晴らしいサービスを提供できることを楽しみにしています。」と述べた。

アンバー・グループは、国内規制に準拠した暗号資産交換業の運営と並行し、機関投資家向けの暗号資産担保ローンやアルゴ取引などの提供、一般投資家向けには国内新規暗号資産のリスティングや暗号資産レンディングサービスの提供など、既存の枠組みを超えた新たなサービス展開も検討していくようだ。

ディーカレットHDは、デジタル通貨「DCJPY」事業に専念するようだ。74の企業・銀行・自治体・団体が参加する「デジタル通貨フォーラム」がDCJPYの2022年度中の実用化を目指しており、ディーカレットが事務局を務めている。DCJPYは円建てのデジタル通貨として設計されており、当面は銀行が発行主体となることが想定されている。