すばらしい役割を担ってきた女性たちによってもたらされた勇気と決断を讃える日である、「国際女性デー」。その国際女性デーの3月8日(火)に、都内で「“ホロジック世界ウィメンズヘルス指数”発表メディアセミナー」が開催された。
セミナーは、ホロジックジャパン株式会社が開催した。ホロジックは疾患の早期発見と治療を通じて女性の健康と幸福の向上に取り組むグローバル医療機器企業だ。
今回発表されたホロジック世界ウィメンズヘルス指数は、調査によって収集したデータを理解しやすい形にまとめたものである。調査の対象になったのは116の国・地域の男女12万人。女性の健康に関する、こうした大規模調査は世界初だという。
調査結果によって、1予防医療、2健康と安全に関する意見、3メンタルヘルス、4個人の健康、5基本的ニーズという5項目の予測値のいずれかを改善することで、女性が健康的に長生きできる可能性が高まることも分かった。
日本は世界の中でも予防医療に関するランキングが低い
この日のセミナーでは、日本での調査結果をグローバル結果と比較。日本人女性の健康に対する認識の格差などについても説明が行なわれた。
日本のホロジック世界ウィメンズヘルス指数は61で、世界でのランキングは24位だった。ちなみに、指数の世界平均は54で、ランキング1位は指数69の台湾という結果になっている。
日本のホロジック世界ウィメンズヘルス指数の特徴としては、前述の5項目の中で予防医療に関するランキングが91位で低いという指摘がなされた(健康と安全に関する意見は24位、メンタルヘルスは18位、個人の健康は25位、基本的ニーズは4位)。
予防医療に関しては、高血圧、糖尿病、がん、性感染症に対する検査受診の状況を調査しているが、この中でも性感染症は受診しているのが15~39歳で1%、40~59歳で2%、60歳以上で2%と非常に低く、日本の立ち遅れている現状が明らかになった。
健康に関するリテラシーも重要
専門家によるスピーチも行なわれた。産婦人科医師で、医療法人社団ウィミンズ・ウェルネス理事長の対馬ルリ子さんは「女性のヘルスケアから社会を元気に」とのタイトルで、健康に関する知識や生活の質を維持・向上させるための力「ヘルスリテラシー」の重要性などについてスピーチした。
ダイバーシティとインクルージョンに関するサービスを行なう株式会社カレイディストの代表取締役・塚原月子さんは「女性が活躍できる社会とは?」とのタイトルで、ダイバーシティとインクルージョンを重視することは、女性やマイノリティだけでなく組織にもメリットをもたらすことについてスピーチした。また、女性は無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)にさらされていることも解説した。
参議院議員・医師で、自由民主党の女性局長の自見はなこさんは「安心して、子どもを産み・育てるために」とのタイトルで、こども家庭庁の創設の経緯などについてスピーチした。なお、自見さんはスケジュールの関係で、ビデオ映像を使っての出演となった。
データによって様々な問題が可視化された
今回のセミナーにはタレントの関根麻里さんもゲストとして登壇。対馬さん、塚原さん、関根さん、司会進行にフリーアナウンサーの町亞聖さんというメンバーでパネルディスカッションが行なわれた。
関根さんは、出産時に出会った助産師の方から「ママもわからないことがあって当たり前ですよ。育児=“育自”でママも一緒に成長していくもの」とアドバイスされて肩の荷が下りたという経験を語った。関根さんのこのエピソードを含めて、今回のセミナーではかかりつけ医などの相談できる相手がいることの大切さがたびたび言及された。
塚原さんは女性の社会進出に関して、女性の社会進出は進んでいるものの「女性が意思決定のプロセスに入っていけるような労働参画」が重要と指摘。子育て中の女性に対して「『大変そうだから重要な仕事は与えないでおいてあげよう』みたいな“要らない思いやり”を発揮して重要な場面に女性が呼ばれない状態はまだあるかなと思います」とも語った。
対馬さんは、これまで職場が男性中心で捉えられていたため、職場の健康をとりまく環境は女性にとって働きやすいものではないと述べた。従業員が長く健康的に働けることが組織にとっても大事なことだが、「女性の健康に対するサポートは遅れています。まず、そういう問題があるんですよと言わないといけない」と発信することの重要性についても触れた。
今回のセミナーでは、様々な問題を可視化することの重要性もたびたび指摘された。問題がどのような形で存在するかが明らかになることで、議論の場が作られていくのである。ホロジック世界ウィメンズヘルス指数は、そのための重要なツールと言えるだろう。
ホロジック社は今後もホロジック世界ウィメンズヘルス指数の取り組みを続けていく予定とのことだ。