江戸時代から和紙の産業で栄えた岐阜県美濃市。国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定された「うだつのあがる町並み」は、かつての紙商の繁栄ぶりを今に伝えています。

約1300年の歴史を誇る「本美濃紙」は、繊細できめ細やかな風合いを持ち、美しくて丈夫です。日本の手漉き和紙技術として、ユネスコ無形文化遺産にも登録されました。その文化・技術は現在に受け継がれ、今日も美濃市では、職人さんの手により伝統的な流し漉きで和紙が作られています。

そんな手漉き和紙職人のひとり、千田崇統さん。伝統的な技術を土台に、新たな和紙の表現としてアート和紙の世界を開拓する個性的な作風が特徴です。東海テレビのテレビ番組「タイチサン!」や朝日新聞などのメディアにも取り上げられ、注目を集めています。

美濃和紙は、クワ科の落葉低木の楮(こうぞ)とトロロアオイという植物の根から出る粘液、清流の水を使って作られます。水に浸して不純物を取り去り、樹皮を煮出し繊維を取り出し、ちり取りをし、叩き、木枠ですくい上げるといった工程が、薄く美しい和紙を作るのには欠かせません。

なかなか立ち入る機会のない和紙工房ですが、JR東海マーケットでは、千田さんの工房を訪れて、流し漉きで作る和紙を使って自分だけのアートパネル製作体験ができるプログラムを販売中です。

千田さんから和紙の原料や製造工程、昔から受け継がれている技法などを教えてもらい、和紙職人に弟子入りしたような気持ちで、世界に一つのオリジナル和紙アートパネルを作れる特別な体験。持ち帰って家に飾れば、見るたびに美濃を身近に感じられるでしょう。

アートパネルに貼る和紙には、天然染料の茜や藍で染めた楮を漉き込めます。

長い繊維を流れるように配置したり、ちぎって毛羽立たせた和紙を散らしたり……。どんなデザインにするかは自分次第です。

漉いた和紙を乾かして、用意されたパネルに貼り付けていきます。千田さんに教えてもらいながら自分で漉いたこともあって、愛着もひとしおです。

JR東海マーケットで申し込めるプログラムは、美濃市周辺エリアに1泊2日で滞在し、1日目は美濃の町の歴史と和紙の文化に理解を深めるガイドツアーに参加、 2日目に手漉き和紙のアートパネル製作体験をするというもの。

日程は2022年9月10日(土)14:00~9月11日(日)17:00頃と、2022年10月15日(土)14:00~10月16日(日)17:00頃の2つが用意されています。詳細はJR東海マーケットにてご確認ください。

プログラムに宿泊は含まれないため、自分で宿泊先を手配する必要があります。おすすめは、豪商の商家をリノベーションした地域分散型ホテル「NIPPONIA美濃商家町」。滞在中は、地元の方との交流券「馴染み符」とともに、まるで馴染みのお客さんになった気分で散策を楽しめます。

紙漉き体験ができる場所はほかにもありますが、職人の工房で、直接手ほどきを受けられる機会はなかなかありません。手漉き和紙のアートパネル作り体験は、美濃の忘れられない思い出になることでしょう。

詳細:https://market.jr-central.co.jp/shop/g/gS12003list/

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