11月22日(水)、東京都内にて江崎グリコ株式会社がメディア関係者を対象として、「スーパー物質「短鎖脂肪酸」メディアセミナー」を開催した。

江崎グリコは腸内細菌が作る代謝物質「短鎖脂肪酸」の働きを広め、腸からの健康生活についての研究・啓発活動を行なう「タンサ脂肪酸プロジェクト」を2022年6月より推進している。今回のセミナーでは、短鎖脂肪酸が持つ様々な力や、日常生活で活用できる「タンサ活レシピ」が紹介された。

セミナーには、慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授で株式会社メタジェン代表取締役社長CEOの福田真嗣氏が登壇(冒頭写真、右の人物)。腸内環境研究の第一人者である福田氏は、短鎖脂肪酸の効果効能について解説した。

福田氏によれば、腸内細菌が食物繊維を分解して作る短鎖脂肪酸には、肥満抑制、持久力向上、肌荒れの抑制、免疫機能の向上、食物アレルギー改善など、様々な健康効果があるという。

持久力向上に関しては、駅伝で有名な青山学院大学陸上競技部の協力のもと実験を行なったところ、短鎖脂肪酸を生み出す腸内細菌が多い人ほど3000メートルを走るタイムが速いと分かったとのことだった。

続いて、江崎グリコでタンサ脂肪酸プロジェクトに取り組む、タンサ脂肪酸探査チームの東直樹氏が登壇(冒頭写真、真ん中の人物)。東氏はグリコ独自のビフィズス菌「GCL2505株」について解説した。

短鎖脂肪酸を多く作るGCL2505株には、腸内環境の改善、内臓脂肪の低減などの他、認知機能の改善、血管の柔軟性の改善といった効果もあると東氏は語った。つまり、認知症、心疾患、脳血管疾患などに対する効果が期待できるのだ。

短鎖脂肪酸を増やすためのレシピ

最後に管理栄養士の柴田真希氏が登壇して、グリコが提唱する「タンサ活」とタンサ活をサポートするレシピについて解説した(冒頭写真、左の人物)。

タンサ活とは、腸内で短鎖脂肪酸を生み出すための活動。毎日の食生活の中で1日にビフィズス菌入りヨーグルト100グラムと水溶性食物繊維2グラムをとることを柴田氏は勧めた。

水溶性食物繊維2グラムは、ライ麦パンなら2枚、納豆なら2パック、じゃが芋なら中5個、しいたけなら33個、玉ねぎなら2.5個が目安。食材1種でとるのは難しいので、複数の食材を組み合わせるとよいだろうとのことだった。

無理なくタンサ活を行なうためのレシピとして、柴田氏は「根菜のキーマカレー ヨーグルトソース」などを紹介。レシピは以下のとおり。

・材料(2人分)
麦ご飯 2杯
A:豚ひき肉 150グラム
A:じゃがいも 2分の1個(75グラム)
A:ごぼう 2分の1本(75グラム)
A:にんじん 3分の1本(50グラム)
A:しいたけ 3枚(45グラム)
A:にんにく、しょうが すりおろしたものを各大さじ2分の1
B:水 100ミリリットル
B:カレールウ 2人分
ビフィズス菌入りのヨーグルト(無糖) 200グラム

・作り方
1:じゃがいも、ごぼう、にんじん、しいたけを5ミリ角に切る。
2:耐熱容器にAを入れて、ふんわりとラップをかけ、600Wの電子レンジで4分ほど加熱する。
3:Bを加えて混ぜ、さらに4〜5分加熱し、全体をよく混ぜる。
4:麦ご飯に3とヨーグルトをかける。

タンサ活レシピは、江崎グリコのタンサ脂肪酸プロジェクトの公式サイトにも掲載されている(https://cp.glico.com/tansa/recipe/)。

セミナーの締めくくりの質疑応答において、タンサ活でのおすすめの食材について聞かれた福田氏は、そもそも男女問わず全ての年代で、短鎖脂肪酸を作るための食物繊維の摂取が不足していると指摘。その上で、自分に合ったタンサ活のための食材の探し方として、まず2週間ほど食べてみて、便の状態などが改善された体感があるかどうかを試してみるとよいのではと語った。改善の体感があった食材は、自分に合っている可能性が高いとのことだった。