仏事関連総合サービスの株式会社メモリアルアートの大野屋(以下、大野屋)が3月16日(土)に、「ぬい供養祭」を開催した。
近年注目される“推し活”の中でファンが愛用するアイテムのひとつとして、「ぬい」と呼ばれるぬいぐるみがある。ファンが推すキャラクターやアイドルをデフォルメしたぬいぐるみで、ファンはぬいぐるみと一緒に旅行やライブ、イベントに行くなどして、推し活の中で一緒に長い時間を過ごすアイテムである。
今回の「ぬい供養祭」は、様々な事情で手放さなければならなくなったぬいぐるみや推し活アイテムを供養するためのものである。
これまで大野屋は人形供養祭や写真供養祭を実施してきたが、今回のぬい供養祭は同社にとっても初の試みとなる。
大野屋の担当者によると、これまでの人形供養祭は高齢者の参列者が多かったが、同社としてはより幅広い層にアプローチしたいという願いもあってぬい供養祭を実施したとのことで、今回のぬい供養祭の参列者は若い女性が大半を占めていた。
ぬい供養祭の会場となったのは、東京都小平市の「フューネラルリビング小平」。大野屋の家族葬向け式場である同会場の祭壇には、持ち込まれた大量のぬいぐるみ、フィギュア、アクリルスタンドが並べられた他、参列者が最後にぬいぐるみの記念写真を撮るためのフォトスポットも式場内に設けられていた。
供養祭が始まると、法相宗大本山の奈良薬師寺の後藤信行師が読経を行ない、参列者たちは焼香を行なった。読経後の講話では、奈良薬師寺は葬式をしない寺院であり、今回の供養祭もぬいぐるみの葬式ではなく、ぬいぐるみに対するこれまでの感謝の気持ちのためのものだと後藤信行師は語った。
昨今メディアで盛んに取り上げられる推し活だが、思い出が詰まっていて処分しにくいアイテムを抱えたファンは多数いるものと推測される。そうしたファンにとって、大野屋が責任をもって推し活アイテムをお焚き上げする供養祭は、非常に画期的な催しだったと言えそうだ。