28日未明に行われた、2018 FIFAワールドカップ「日本対ポーランド戦」の模様を29日放送の『あさチャン』(TBS系)が取り上げた。

番組では、朝5時25分から約2時間半に渡る放送の中で、昨日の試合を振り返り日本の勝利を称える内容を、他のニュースもはさみながら何度も特集した。

その番組の中盤の時間帯に、「賛否 攻めないプレーで決勝T進出“西野采配”批判する報道も」と題し、ポーランド戦の「後半残り10分」で日本代表が消極的なプレーをしたことに対し批判も上がっているとして、日本人サポーターや海外メディアの賛否の声を紹介した。だが、取材を受けたサポーターの中の一人が、今回の采配を“是”としているのにも関わらず、発言の一部だけを切り取って、批判しているかのように放送される場面が見受けられた。

問題の放送では、“西野采配”に対し「日本代表の戦い、観た人にはどのように映ったのでしょうか」というナレーションと、「その評価は…」というテロップを入れて、都内のスポーツバー等で観戦していた日本人サポーターたちにインタビュー。「決勝進出できたんで最高です」「(決勝トーナメントに行くことが重要で)勝ち方に意味はない」と喜び沸くサポーターたちの声を流した一方で、「もうちょっとやれたんじゃないかなというのが正直なところありますね」という「後半残り10分」の戦い方に批判をしているかのようなサポーターの声も放送された。

しかし……である。この批判をしているかのようなサポーターの一般人は、『あさチャン』の前半の時間帯にも出てきており、その時は歓喜に沸くサポーターとして「ワールドカップは結果が全て〜!」と喜びの絶叫を上げた後、「もうちょっとやれたんじゃないかなというのが正直なところありますね」と前述のインタビュー場面と同様のものが流れ、続けて「ワールドカップは結果が全てなんで、決勝トーナメントに進めたということで、まずは一段落かな」という安堵の言葉まで語っていた。

『あさチャン』は、「ワールドカップは結果が全て〜!」と決勝トーナメント進出に喜んでいるサポーターのインタビューを流しておきながら、同番組の他のコーナーでは同じ人物のインタビューの前後半の発言を切り取り、都合のいいところだけを使って、「もうちょっとやれたんじゃないか」と、西野采配に疑問を感じているかのように演出をしていたのである。

政治家の発言を切り取って文脈を違う趣旨にして報道することは偏向メディアの常套手段だが、一般人の発言の一部を切り取って、ねじ曲げた内容に仕立てて放送するのはやりすぎである。しかも、同じ番組で、同じ人物のインタビューを使って、別の趣旨の発言にしてしまうのはお粗末としか言いようがない。

『あさチャン』の制作班は情報番組としてのあり方が問われるところだ。