1213日、東京都内にてキャンディメーカーのカンロ株式会社がフューチャーデザイン事業発表会を行った。フューチャーデザイン事業とは、「カンロの未来を担う事業を形作る」という趣旨のものであり、2022年から本格的に稼働する。

カンロは2030年に向けた長期ビジョン「KanroVision2030」において、「Sweeten the Future」というスローガンを掲げている。これは「健康と笑顔に満ちた未来の創造」を目指すもので、コロナ禍に見舞われた世界に対してカンロとして社会に対して貢献できることがあるのではないかという想いで事業を行なうという。

フューチャーデザイン事業も社会貢献を強く意識した内容になっていて、「サステナブル」と「Well-being(ウェルビーイング)」(肉体的、精神的、社会的に満たされた状態のこと)という2つの基本方針が押し出されている。サステナブルとWell-beingに基づいた事業を行なって、ESG経営(環境、社会、管理体制を意識した経営)を後押しすることを目指すのだ。

フューチャーデザイン事業は、パートナーとなる他企業との協業で行われる。サステナブルにおいては独自の発酵技術を持つ研究開発型バイオ・エンジニアリング企業の株式会社FERMENSTATION(ファーメンステーション)と組み、Well-beingにおいては自らをストローマエストロと名乗り「DlinkStraw」(ディーリンクストロー)というストローブランドを立ち上げた野村優妃氏が創業した株式会社リベラベルと組む。

販売できない飴からアロマスプレーやマスクスプレーを作る

サステナブルなフューチャーデザイン事業では、規格外となって販売できない飴の活用に着目している。カンロの工場では、製造過程の中で規格外の飴や成形工程で粉状の飴が出る。カンロはこれまで商品化できない飴を他社に引き取ってもらい飼料・肥料として再利用していたが、今回の取り組みでは自社内で再活用し、新たな製品を作ることを目指す。

発表会ではファーメンステーション開発したアロマスプレーとマスクスプレーが披露された。規格外の飴をもとにエタノールを生成し、それを原料としてスプレーを作ったのだ。披露されたスプレーはあくまで試供品で販売は行なわないとのことだが、2022年夏以降にはハンドスプレー、石鹸、ウェットティッシュなどを順次販売する。

飴でできた食べられるストローの製造にも取り組む

フューチャーデザイン事業Well-beingの取り組みでは、カンロのでできた食べられる「キャンディストロー」の製作に取り組む。リベラベルの野村CEOは食べられるストローのためのクラウドファンディングを立ち上げていたが、これを知ったカンロが野村CEOにアプローチしたことで今回の協業が実現した。

プラスチックゴミ問題などで何かとネガティブなイメージを持たれがちなストローだが、リベラベルでは竹やサトウキビ、草、麦わらなどで作ったストローで、ストローの新たな魅力を世の中に提案している。カンロとのコラボで作られる飴でできたストローもこれまでのストローのイメージを変えるものを目指す。

野村CEOは「ミルクのキャンディをもとにしたストローを作れば、コーヒーや紅茶を飲むときに味の変化も楽しめます」といったアイディアも壇上で語った。カンロとリベラベルでは飴でできたストローを試作しているが、商品として完成した後にはドリンクメーカーとのコラボなどの展開も可能性があるとのことだ

発表会に登壇したカンロの三須和泰社長はフューチャーデザイン事業の「デザイン」という言葉には「事業をこれから作っていくんだ」との想いが込められていると語ったが、新たな企業との協業含めてフューチャーデザイン事業の今後の展開に注目したい。