渋谷ソラスタコンファレンス4Gにて、7月26日に「ファンタスティック ベースボール:日米プロ ユーザー座談会」が開催された。開発会社Round1 Studio CEO イ・ゴンヒ氏、WEMADE 事業担当者 甲能国吉氏(こうの・くによし)、開発会社Round1 Studio 企画担当者 ハン・ジンス氏が登壇した。ユーザーからの質問に答える場となった。

◯「ファンタスティックベースボール:日米プロ」とは

「もしMLBのスーパースターとNPBのスーパースターがひとつのゲームでチームを作れるとしたらどうなるのか」そんな一野球ファンとしても心躍るコンセプトで作られたゲームが「ファンタスティックベースボール:日米プロ」だ。2025年5月29日にリリース。

MLBとは100年以上の歴史を持つリーグであり、NPBとはWBC王者であり世界ランク1位を誇るリーグだ。

MLBからは総勢3902枚の選手カードと18の球場を、NPBからは総勢1560枚の選手カードと3つの球場を再現した。現段階ではすべてが実装されているわけではないが、ほぼすべてのデータ自体はある。現在、フィードバックで精度を高めている最中だという。

リアルタイムな情報も反映していくスタイルであり、例えば村上宗隆選手がMLBで活躍すれば、そのデータを元にした選手カードを作っていく予定でもある。

ゲームのシステムとしては、プレイによって成長アイテムを手に入れて、それで選手を成長させていくかたちだ。手に入れたスター選手で夢のチームを構成できる。

実況の声は、野球ファンにはおなじみの上重聡アナウンサーを起用。上重聡アナウンサーは用意した台本を超えて、さまざまなアドリブを披露しており、それを採用したという。

ゲームモードも、「リアルタイム監督モード」や「決戦モード」など多彩に用意している。

◯数字で見る「ファンタスティックベースボール:日米プロ」の現状

累計加入者は61万6330名であり、サービス開始時から毎日ログインしているユーザーは3573名。ヘビーなユーザーもたっぷり抱えている。

お気に入りチームの選択は、大谷翔平選手などを抱える「LA・ドジャース」が圧倒的に一強で62.79%。他にも「NY・ヤンキース」、「読売ジャイアンツ」、「阪神タイガース」、「福岡ソフトバンクホークス」が並ぶ。

◯「ファンタスティックベースボール:日米プロ」の課題と対応

入手しづらかった必要なアイテムの獲得導線の修正や、日本語として不自然だった実況音声を削除し調整中、グラフィック全体の品質を改善など、課題は出てくれば次々に対応。

他にも、左利きのユーザーにもプレイしやすいように改善。7月は選手の成長に関するシステムの改修に注力した。

◯「ファンタスティックベースボール:日米プロ」の今後

手軽に楽しめるイベントやクラブによる交流ができるように「システム強化」、演出の強化や動きの修正など見栄えに関する「インゲーム改善」、球団の代表スター選手の追加など「継続的な選手の追加」、単発イベントではなく定期的な座談会の開催など「持続的なファンとのコミュニケーション」をしていくと示した。

2026年に向けて、現実のWBCの開催に合わせたイベントや限定モード、シーズン開幕に合わせてレジェンド選手のカードのアップデートの予定などを計画しているという。

「野球にあるすべてのものを落とし込むのが野望」としてはいるが、WEBの結果に応じたリアルタイムイベントに関しては、現実的な問題が山積みであり、それらを解決できた場合は開催することができる、とのこと。

また、レジェンド選手に関して、「自身が野球のファンであるがゆえに、野球のファンが求めるものがなにかわかっている」とした上で、まだ発表できる段階ではないが、鋭意努力中だという。

◯愛溢れるゆえに”手厳しい火の玉ストレート”が飛び交うユーザー座談会

座談会のメインはファンとの交流である。ファンからの質問に運営が応える場面があった。どのファンも「ファンタスティックベースボール:日米プロ」に真剣に取り組んでいるがために、鋭い角度で切り込んでいた。

Q:
監督モードのコンテンツに関して、運の要素が強すぎます。改善の検討はあるのでしょうか?
A:
相手との心理戦、自分のチームの強さ、そして運。この3つの要素を通して楽しめるモードとして開発しました。しかし、運による勝敗の左右を感じる人は多いと思います。我々も不十分と感じている要素であり、今後、調整していきます。

Q:
成長アイテムがもっとほしいです。プリズム強化に必要なアイテムが不足していると思います。いかがでしょうか?
A:
同一選手の同一グレードのカードを獲得するのが難しいことは問題だと把握しています。長期的に改善していく予定で、さまざまなルートからアイテムを入手できるように改善していく予定です。

Q:
日本に元々ある野球ゲームとの差別化はどのあたりを重視していますか。
A:
MLBとNPBの選手を楽しめるスケール、簡易な育成システムや単純操作にこだわった馴染やすさ、野球をリアルに楽しめるディティールの3つの要素を重視しています。また、心理戦が楽しめるゲーム性も大事です。

現状、目指しているゲームの理想のかたちになっているわけではありません。韓国のことわざに「最初のひとくちではお腹いっぱいにならない」があります。最初の結果より継続した努力が重要だと考えています。

今後も野球の楽しさを伝えられる架け橋のようなゲームを目指して精進していきます。

ファンからの手厳しい意見が多いのはユーザーがゲームにハマっている証拠だろう。「ファンタスティックベースボール:日米プロ」は、この愛のムチをどのように受け止めていくのか。今後に期待したい。