財務省トップの福田淳一事務次官(58)が女性記者にセクハラ発言を繰り返したとする問題は、13日、報道した週刊新潮(新潮社)が問題発言の録音データを公開するという進展を見せた。福田氏本人は「ない」と強く否定していたものの、もはや言い逃れ出来ない状況となっている。

公開されたセクハラ音源を聞くと、たしかに福田氏と思われる男性が女性記者に「今日ね、今日ね…抱きしめていい?」「じゃあ予算通ったら浮気するか?」「手縛ってあげる。胸触っていい?」と繰り返し言っている場面が確認できる。合わせて公開された、自宅前を犬と散歩する福田氏が「何を失礼なことを言っているんだ」と恫喝する声は同じ声質に感じられ、さすがに言い逃れは出来ないものと思われる。

麻生太郎財務相(77)は12日の参院財政金融委員会で「(福田氏は)反省もある。緊張感を持って対応するよう述べたことで十分だ」としていたが、13日の閣議後会見では「(報道が)事実なら、セクハラという意味ではアウト。今の時代では明らかにセクハラだ」と辞任に値するとの認識を示唆した。

この福田氏のセクハラ音声を受けて、ソーシャルメディア上でも「これが財務省トップって!? 知性の欠片もないんだが」「58歳でこの地位でこの音声データは恥ずかしすぎる。前川喜平の出会い系バーよりみっともない」「これはハニトラだったとしてもアウト。民間企業だったら確実に首だろね」などと非難囂々だった。野党の女性議員らと福田氏更迭を要求した社民党・福島瑞穂議員も、Twitterで「5人の女性が被害を訴え、録音もあるので、事実と認定されるのも時間の問題ではないか」とつぶやいた。

福田氏は東大を卒業後、82年に大蔵省(当時)に入省。同期には、佐川宣寿国税庁長官や、佐川氏の前任の理財局長であった迫田英典元国税庁長官がおり、また自民党の片山さつき衆院議員も同期入省であった。

■これも官僚リークの弊害か?

日本で最も優秀な学生が集まるという財務省の、そのトップのあまりに破廉恥な女性蔑視の言動には呆れる限り。だが、この事件が孕んだ問題は、個人のスキャンダルに留まらない。

一つには、福田氏が当初新潮の報道にタカをくくって「ない」を連発して完全否定していたにもかかわらず、あっさり証言の嘘が白日の下に晒されたことだ。これは野党やマスコミからあらぬ疑いをかけられて、長期に渡り否定し続けてきた安倍政権にとって、「官僚証言」の信憑性という点でのイメージダウンは免れない。今後、さらに水掛け論、悪魔の証明という泥沼に突入する予感を禁じ得ない。

また、もう一つにはマスコミの「官僚リーク」依存の問題もある。大阪地検女性特捜部長による朝日新聞への情報リーク疑惑も話題になったばかり。今回の一件も女性記者が嫌々ながらも「バーで2人」や「夜中のサシ飲み」の呼び出しに応じていた背景には、重要証言のリークを匂わせたと思われるフシがある。官僚からマスコミへの情報提供がなければ、多くの報道記事が成立すらしない。そこに福田氏のようなセクハラ魔を生み出した隙があったのではないか。また、夜うち朝駆けの多い首相周辺の担当にあえて美形の女性記者をあてる大手マスコミの傾向にも注視が必要かもしれない。

98年の旧大蔵省ノーパンしゃぶしゃぶ接待の昔から、財務官僚の好き者ぶりは伝統か。出会い系バー援助交際疑惑の前川喜平氏もビックリのスキャンダルであった。