『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)で「法律の母」と持ちあげられた住田裕子氏(66)が弁護士らしからぬ「憶測発言」をテレビで連発し、物議を呼んでいる。
住田氏は15日放送の報道バラエティ『そこまで言って委員会NP 〜女性をめぐるニュース大決着SP〜』(よみうりテレビ)に出演。番組ではイラク日報・モリカケ騒動を受けて、3月以降、特に女性からの支持率低下が目立つ安倍内閣について「もう”総辞職すべき”or”すべきでない”」に分かれて意見を出し合うコーナーが行われていた。
憲法学者・竹田恒泰氏(42)は「本来この問題は昨年の総選挙で決着したハズ。安倍総理が直接指示した証拠が出てきたわけでもない。野党は『ないことの証明』を安倍さんに求めている」として、辞職すべきでないとの意見を述べた。また、元東京新聞論説副主幹・長谷川幸洋氏(65)も「”首相案件”は当たり前。だって国家戦略特区は安倍政権の肝入りの目玉政策だから」と辞職の不要を示し、評論家・金美齢氏(84)にいたっては「現状は税金の無駄遣い」として「国民に任せればいい。安倍さんよりもっと良い仕事をする(野党がある)と思ったら、解散して総選挙すればいい」と、むしろ(雑音を取り除く意味で)「総辞職すべき」と自論を展開していた。
だが、これに真っ向から安倍政権批判を繰り広げたのが住田弁護士だった。住田氏は”総辞職すべき”であることを示し、「安倍さんの最側近の経産省人脈が行政を歪めている感じがしてならない。安倍さんにおもねるため傷がつくようなものをお掃除してる」と噛み付いた。ジャーナリスト・須田慎一郎氏(56)が「元検事さんなら、どう経産省が(森友に)関与したのか、事実関係を言わなないと……想像で話してるんですか」とツッコむと、住田氏は「司法に委ねるしかない。検事なら”筋読み"して想像かも知れないけど予測してありそうな事をつっこんでいく」と述べたのだ。
”筋読み”とは裁判用語で、検察が事件のストーリーを「予想」し、その仮説ありきで捜査を進めることを指す。被疑者本人が否定していても関係ない。”ないこと”を説明が出来なければ、お前が犯人だ、と断定してしまうのである。まさに安倍総理を取り巻く疑惑の状況がこれではないのか。元検事である住田氏の”感じてならない”という言葉が、筋読みの発想で安倍総理を糾弾する異常な状況を象徴している。
住田氏の「筋読み」発言に関してはソーシャルメディア上でも「元検事らしいが、証拠もなく自分の妄想で相手を断罪しているとか怖すぎる」「優しそうな人だと思ってたけど…自分の推測を確信して疑わない、あの人の目が怖く見えてきた」「弁護士が憶測で話するとか信じられん。住田弁護士の印象が一気に変わってしまった」と驚きと批判の声が渦巻いていた。
■被害者サイドに立つ法律の母の「スジ読み」が生んだ冤罪事件
同番組はその後も議論が白熱をみせて終了した。だが、怒りが収まらないのか、竹田氏は放送後にTwitterで興味深い発言をし、それが更なる炎上を呼んだのである。
「住田裕子弁護士は、事実関係は不明でも筋読みすると安倍総理は問題と発言。こうやって冤罪は起きる。住田氏は検事時代に草加事件で冤罪を生んだ。逮捕して処分した少年5人は民事で無実が確定。A型とB型を合わせるとAB型になると滅茶苦茶な主張をしたが裁判所は却下している」
じつは、住田弁護士は検事時代の1985年に「草加事件」という冤罪事件を起こしている。同年7月に埼玉県・草加市で八潮市在住の中学3年女子の絞殺体が発見された。容疑者として逮捕されたのは草加市在住の13~15歳の少年6人(1人は補導)。この時の主任検事が住田氏だった。だが、被害者の身体から検出された唾液、スカートに付着した精液、毛髪などいずれもAB型。逮捕者全員がO型とB型だったにもかかわらずである。事件は最高裁までもつれたが、判決は揺るがず。だが、その後、民事で争われた際に「少年らの犯行を裏付ける証拠は無い」として、刑事裁判とは逆の事実上の「無罪判断」が出る異例の展開をみせたのだ。
この経緯は09年4月19日放送の『サンデープロジェクト』(テレビ朝日系)で放送され、主任検事であった住田氏にも事実確認が行われたが、彼女は「守秘義務」を理由に回答をしなかった。この冤罪逮捕の背景にも強引な「筋読み」があったと言われていたのである。
社会を騒がせた冤罪を生みながら釈明も謝罪もせず、いまなお「筋読み」で安倍総理を追い込もうとする元検事・住田裕子氏。常に弱者の味方たらんとする「法律の母」も結構だが、自分の勝手な推測で罪もない悪人を作り上げる傲慢は如何なものか。法の下では総理も含めた、全ての人が平等なのを思い出してもらいたい。