森友問題をめぐる決裁文書改ざんで揺れる財務省の事務方トップの福田淳一事務次官が、女性記者に“セクハラ発言”を行ったとされる疑惑を、16日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)が特集した。番組では福田事務次官と思われるセクハラ発言の音声データを公開し、それを「声紋鑑定」をして調査した結果、本人の可能性が高いことが明らかになった。

今回、問題となったのは、12日に週刊新潮(新潮社)で報じられた、福田事務次官が女性記者に「抱きしめていい?」「手を縛っていい?」「おっぱい触ってっていい?」など“セクハラ発言”をしていたのではないかという疑惑。当初、福田事務次官は記者の取材に「そんなこと言わないよ」「何を失礼なこと言っているんだよ」「言ってないよ、間違いだって!」と、カメラの前で語気を強めて完全否定していた。

しかし翌13日、福田事務次官と思われる女性記者へのセクハラ発言の音声データを『週刊新潮』が公開したことで事態は一転。財務省に集まった報道陣に進退について質問されると口を閉ざし、無言のまま立ち去った。

はたして音声データは本人の物なのか? 番組の取材班が、警察庁などの調査にも協力している専門家・日本音響研究所の鈴木創所長に声紋鑑定を依頼。公開されたセクハラ発言の音声データと、過去に福田事務次官が発言した音声を比較し、鑑定したところ「95%以上、同一人物の可能性があると思います」と、鈴木所長は語った。

番組コメンテーターの住田裕子弁護士は、福田事務次官による女性記者へのセクハラ疑惑を受けて「女性としても、こんなこといくら仕事上でも言われても許せない」と、批判する一方で「セクハラ発言に対して、(福田事務次官は当初)『言ってない』『誰がそんなことを言っているんだ』と強気に言っている。これは役人の言葉として重い。声紋鑑定で、彼が同一人物だとしたならば、(セクハラ発言を)平気で否定するのは、いろんな国会での審議すら(発言を)疑われるような、そういう状況になってしまう」「彼ら(役人)は逃げるために、嘘をつくんだという印象を全国民に出してしまったなって思いましたね」と、持論を展開した。

なお、福田事務次官は16日、セクハラ疑惑報道に財務省を通して「事実と異なる」と、改めて否定。一方で、同日付の産経新聞によると「安倍総理は15日、財務省の福田淳一事務次官の更迭は不可避と判断した」と報じている。財務省に続くハレンチスキャンダルだが、さらなる混迷を深めている。