ご存知、高須克弥院長が炎上も辞さず、ニュースを斬る当シリーズ。今回のお題は、またも是枝裕和監督(56)の言動が物議をかもし、保守・左派界隈で話題をふりまいている『万引き家族』について。

ーー是枝監督は6月8日、林文科相の「(カンヌ)受賞を祝福したい」という祝意にホームページで辞退を表明。「公権力とは潔く距離を保つ」とする一方で、文化庁の助成金を受け取っていたことも判明し、批判を浴びています。また同氏は「左右両派!のバトルは終わりにして頂きたい」とも発言していますが、これは9千近い「いいね」の共感を得た院長のツイートも指していると思われます。もう少しこのツイートの背景、真意をお聞かせいただけますか。

高須院長「そもそも”万引き家族”って、日本人の発想じゃないですよ。日本は”恥の文化”なんです。日本の美徳とは対極です。

是枝監督はインタビューで『共同体文化が崩壊して家族が崩壊している』と発言してますが、これはその通り。核家族化して、大家族がなくなったことが現代の混乱を招いているのはたしかです。でも、万引きを通じて家族の絆を深めたというのは、まったく(日本の社会とは)別の話でしょ? 万引き家族は近代都市の底辺にうごめく、すごく特殊な家族なの。

日本では、万引きは”家族”単位では成立しないですよ。教育が行き届かなくて万引きに走る少年少女とか、家族から見捨てられて認知症になってコンビニで窃盗してしまう老人とか、むしろバラバラになった個人です。

こんなの映画祭で賞を取っちゃったら、日本で”万引き家族”というものが社会問題になってるみたいじゃない? 日本で集団窃盗罪を働いて問題になってるのは、むしろ外国から来た人たちでしょ」

ーー先日、中国人漫画家・孫向文さんも本サイトで「中国から移住した私から見れば、現在の日本はそれほど過酷な格差社会ではない」「本当に過酷な格差社会である中国では、親が自分の子供に窃盗行為をさせるのは、日常茶飯事」と主張しています。

高須院長「そうそう、中国で”万引き家族”だったらいっぱいいる、大昔から。代々受け継いでる、エジプトの盗掘一家とか。それは文化だから。日本では家族単位では成立しません。

それに、日本はいま就職率がほぼ100%(※)だから、贅沢さえ望まなければ、普通に就職して給料もらった方が、万引きしながら暮らすより安定した生活できるからね(※2)。外国人を騙してる。これはファンタジーというか、いや”捏造”に近いです」

ーー監督自らホームページで「(左右ではなく)作品そのものを論じてほしい」と語りながら、海外のプレスに対しては、あたかも”現代日本が抱える社会問題”を作品に匂わせる発言を繰り返す。多くの人が違和感を持ち、バッシングが頻発したのは、是枝監督のそんな矛盾した姿勢が透けて見えたからかも知れない。では、是枝氏の言動には意図的な思惑があったと考えるべきでしょうか。

高須院長「(カンヌの)審査員が反体制に偏ってると媚びなきゃならない。だから賞を獲るものって暗いものが多いじゃない。ボクはもっと明るいコメディ作品が観たいけど、コメディ色が強いと賞を獲るのは厳しい。

最近では、社会問題を扱った作品なら『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017・韓国)が良かった。タクシーの運転手が多数の死傷者を出した光州事件(1980年)の現場に、ドイツ人記者を連れて行く実話を元にしてる。シャレた作りでとても面白かったですよ。

あっ、もっと面白いコメディがあった! 『のみとり侍』(鶴橋康夫監督)です。高須クリニックはコラボしたんだけど、折り悪く大きなニュースが重なり、さらに『万引き家族』を批判してたらそっちに話題が行っちゃった(笑)。 『万引き家族』より面白いよ。ぜひこちらを観てほしい!」

奇しくも、現在多くの映画館で是枝監督の『万引き家族』と、院長のコラボした『のみとり侍』が呉越同舟、並んでの上映中である。どちらが面白いかはさておき、すくなくとも”皺とり侍”、高須院長の丁髷姿CMの方が、『万引き家族』のプロモーション動画より笑えるのは確かである。

是枝監督も日本を貶めるのではなく、これくらいカラダを張ったプロモーションをすればバッシングも減ると思うのだが……。是枝監督は18年秋公開予定の総合監修オムニバス『十年 Ten Years Japan』でも、「自衛隊徴兵制」という架空の未来を描く『美しい国』(石川慶監督)を取り扱う。院長ならずとも、この先も目が離せないところである。

※ 大卒就職率=98.0%(18年春・文科省・厚労省調べ)
※2 作中の家族は万引き以外に生業あり