高須クリニック・高須克弥院長(73)が世相に切り込む、注目の新連載。今回は揺れ動く北朝鮮問題をクローズアップ! 来月に迫った米朝会談はどう決着するのか、また近い未来、北朝鮮はどう変わるのか。戦後日本の「心」の復興史に重ね合わせながら、高須院長が大胆予測するーー。

ーー注目の米朝首脳会談(6月12日・シンガポール)まで一ヶ月を切りました。”蚊帳の外”と言われている日本の外交も含め、北朝鮮をめぐる現在の状況をどのように分析されますか。

「ボクは以前から、外交の基本は(1)武力と(2)経済力と(3)恫喝力だと考えてるの。日本には武力がないから恫喝も効かない。いや、武力はあっても使えない、守ることしかできないからね。『プルトニウムはたくさんあるし、核はいくらでも作れるし、人工衛星飛ばす技術があるからいつでもやったるぞ!』と言えば、対等な話が出来るじゃない? でもアメリカの指導監督の下にある武力だから、初めから日本と交渉する意味がない。一方、北朝鮮にはカネがない。日本は経済制裁はやってきたから、その意味では北朝鮮が軟化してる状況にずいぶん貢献できていると思います」

ーーでは安倍首相の対北の外交評価はどうですか?

「安倍さんはうまくやってますよ。トランプ大統領と、かなり細かい打ち合わせをやってるでしょ。だって、トランプは『韓国・中国・日本のそれぞれに良いことがあるはず』と明言してる。こんな手柄をたてたなんてペラペラ話したら信頼関係が壊れちゃう」

ーー日本が経済圧力をかけ続ける一方で、韓国・文在寅大統領の融和路線は功を奏しているのでしょうか?

「文在寅は北朝鮮に屈服して『お願いですから攻撃しないでください』とゴマをすって、攻撃は回避する努力を見せてるから、自国では人気は上がるよね。でも、韓国にも右派はいるの。これが上手くいかなかったら、次の大統領の時、(文大統領が)どうなるかね? たいてい韓国の大統領は死刑か無期懲役だから(笑)」

■北朝鮮はリビア方式で核を放棄!? 天皇制を模した金一族は生かされる?

北朝鮮を取り巻く、米国、韓国、中国、そして日本の立ち位置。其々の思惑をもって、どう道筋をつけて北朝鮮を非核化へ導くのか。かつて16年の米国大統領選で、トランプの当選を予測し、「日本にとってメリットになる」との近未来も的中させた、高須院長にズバリ予想を聞いてみた。

「たぶん(北朝鮮が応じて)リビア方式で核を放棄するんじゃないかな」

ーーしかし、リビア方式は条件も厳しく、体制維持のために核兵器を製造した背景からも簡単に手放さずに、核を保有しながら経済援助を引き出すのではないかとも言われてますが……。

「結局は教育の問題なんです。リビア方式なら、再開発できるような科学者も移住させるんだよね。けれど、弟子で優秀な奴を育てておけば、失われた技術がよみがえる。それに今は(核開発の)情報がいっぱいあるから、いざとなったらイランと仲良くしてれば開発者を連れてくるんじゃないかな。核合意から(トランプが)外れたのも”道筋”に見えてくる(笑)。

それに(列車移動しかしないと言われた)金正恩が中国・大連に飛行機で行ったじゃない。斬首作戦するつもりなら狙ってます。向こうが降伏する姿勢を示してるから、いま殺しちゃうと、残された人たちが怒って、それこそミサイルを撃ちかねない」

ーーでは、このまま非核化した後、金一族は生かされる?

「日本の降伏の時とよく似てるんじゃない。国体は残して、天皇陛下は処刑しないと。そういう密約の元に、ポツダム宣言を受諾するっていう話になった。リビア方式といっしょで、天皇を中心とした国家が二度とよみがえらないように、憲法やシステムでがんじがらめにしました。それでも(日本の場合は)教育のある人が残ってるとね、色んな方法でよみがえらせちゃう。たとえば靖国神社はすごい起爆装置なの。靖国神社と天皇陛下が日本再生のキーなんです。

欧米の『菊と刀』(ルース・ベネディクト)に書いてますけど、日本は”恥”の文化です。日本の兵隊が強かったのは、出征する時に神社に行って村中で『立派に死ぬ』『生きて帰らない』と誓う。生き残って帰ってきたら、家族が村八分になって恥ずかしくていられない。そりゃ一生懸命戦いますよ。米軍で一番よく戦ったハワイの日系人部隊なんかもそう。みんな収容所に入ってる家族のために戦った。日本の偉さはそういう共同体を守ろうとする考え方なの。それが最終的には靖国神社にたどり着く。なぜアーリントン墓地は許されるのに、靖国参拝は許さないのか。よく分かってる人が認めないんだと思います。死んだらアラーの元に召されると思うのも、強いですから」

ーー北朝鮮にもそういった思想が根付いている?

「天皇制を真似てるんでね」

ーー北朝鮮には、最終的に暗殺されたリビアのカダフィなんかとは違う結末が待ってると。

「カダフィは途中からだから。大佐時代のことを知ってるヤツらがいますから。三代続けば王朝ですから『金一族のためには死んでもいい』と言ってる忠臣もいっぱい育っている。これを全部消すのには時間がかかると思います。日本がすぐに武装解除したのは、みんな天皇陛下を思ってですよ」

ーー北と南はどのような形になっていくんでしょうか。

「もしかしたら連邦制になっていく。ロシアがそうだったじゃない? ロシアもウクライナもいっしょだった。西と東のドイツもよく似てましたよ。『共産国家の優等生』の東ドイツも、西ドイツといっしょになると最初は大変だったけど、今はうまくとけ込んでます。ああいう風になるんじゃないかな」

院長の大胆にして鋭い予測はまた的中するのか。来月の米朝首脳会談から目が離せない。