“スタートアップ創出元年”「地域の起業家育成プロジェクト」プレス発表会が、7月4日(月)に東京都千代田区の三井住友信託銀行本店ビルにて開催された。
このプロジェクトはNES株式会社、信金中央金庫、三井住友トラスト・ホールディングス株式会社が連携して行うものである。
NESは、ベンチャー投資を手掛ける株式会社レジェンド・パートナーズと三井住友信託銀行株式会社が、2019年7月に共同設立した投資ファンド運営会社だ。
発表会にはNESの今川信宏代表取締役が登壇し、プロジェクトの全景について解説した。今川氏は、岸田内閣が2022年を「スタートアップ創出元年」と銘打って支援に力を入れると表明していること、経団連が「スタートアップ育成ビジョン」を発表していることから、国と経済界が起業家の輩出・育成を進めているという現在の状況を紹介した。
その一方で、いまだに日本において起業が縁遠いものであるという問題も指摘した。特に起業やスタートアップは東京に一極集中している状況があり、東京と地方には大きな格差が存在するという。
こうした問題を解決するためのプロジェクトが、「地域の起業家育成プロジェクト」なのである。
NESは最大40億円規模のファンドを運用。そのNESファンドには三井住友信託銀行、信金中央金庫、そのほかのLP投資家(公的機関、機関投資家、起業経験者など)がLP投資を行なう。
ファンド運営投資事業と同時に、地方において起業家育成事業を行なう点も本プロジェクトの特徴である。都市部スタートアップに対してだけでなく、地方公共団体や地方大学と連携して、地方発・大学発スタートアップにも投資を行なうという。
持続可能な地域経済の実現を目指す
「地域の起業家育成プロジェクト」に参画する、信金中央金庫の柴田弘之理事長も登壇。参画背景についての説明を行った。
柴田氏によると、信金中央金庫は「各地域においてスタートアップが進まないのは起業家への教育やサポート体制が不十分であることが原因のひとつである」と考え、問題を解決するためにNESと三井住友トラスト・ホールディングスのに知見に信用金庫業界のネットワークをかけ合わせることでサポート体制を構築していきたいと意気込みを語った。
続いて、三井住友トラスト・ホールディングスの高倉透取締役執行役社長が登壇。三井住友信託銀行の参画背景について説明した。
高倉氏は、地方において起業家を輩出することを起点に持続可能な地域経済の実現、引いては豊かな社会を次世代につないでいくことに貢献したいとプロジェクトの意義を語った。
NESファンドはすでに2021年9月30日より運用を開始していて、2022年6月末時点で投資実績は8社。ファンドの期限に関しては、10年にプラスして1年延長オプションが2回あり、最長で12年になるという。