12月12日放送の『クレイジージャーニー』(TBS系)で、ジャーナリストの丸山ゴンザレスさん(45)が中南米麻薬ビジネスの起点であるコロンビアに潜入する企画を放送。その中でコロンビアの麻薬王・パブロ・エスコバル(享年44)について取り上げたものの、その紹介の仕方に視聴者から疑問の声が高まっている。
この日、番組では丸山さんとスタッフがコロンビアに行き、丸山さんが街中にいる売人から直接コカイン購入を交渉する様子を放送。後半ではパブロを取り上げ、パブロによってスラム街がどう変わったかなどを取材。最後にはパブロの兄への取材をおこなった。
パブロといえば、1980年代から90年代にかけ、麻薬カルテルによるコカインの取引を独占。コロンビアからアメリカに大量のコカインを輸送し、300億ドル以上も蓄えたといわれている。パブロは一時政治家にもなり、住宅やサッカー競技場、学校などを建設。一方で、自身の覇権を守るために闘争をおこなった結果、コロンビアは世界でも類を見ない殺人が勃発する国に。パブロ率いるカルテルが政府や警察、敵対組織と戦いを繰り広げ、一般人を含め約5万人が死亡したとされている。
しかし、今回、丸山さんが訪れたこの麻薬戦争の中心地であるスラム街では、街の人はパブロについて「テロ行為は許せないけど、私はパブロを嫌いになれないの」「みんな(パブロを)好きだと思いますよ」「パブロのことを尊敬してるんです」など、口々にパブロを英雄視。スラム街の家を建て、生活インフラを整備し助けてくれたからとのこと。丸山さんが「パブロを憎んでる人もいるんですか?」と質問すると、街の女性は「もちろん、テロの被害に遭った人もいますし。勘違いしないでほしいのは、みんながみんな『パブロが好き』っていうわけではないってことですね」と話していた。
しかし、この偏った番組構成に視聴者からは「なぜ具体的な批判の声は取り上げないんだ?」「被害者の声も取り上げてほしかった」「どんなに非道いことしてようと自分に優しかったらいいっていう最悪な考え方」という声が集まっている。
「麻薬王であるパブロが数々の殺人などを繰り返していた裏で、地元では慈善事業をおこなっていたのは有名なエピソード。それにより、地元からは支持されているということも知られています。それだけに番組がそれ以上踏み込まず、地元であってもパブロを憎んでいるという具体的な声を取り上げなかったことに疑問の声が集まったようです」(週刊誌記者)
『クレイジージャーニー』に求められているのは、他の番組にない踏み込んだ目線。安易に麻薬王を英雄視する番組構成へ物足りなさを感じた視聴者も少なくなかったようだ。