4月9日(水)、東京都内にて「多汗症前線2025発表セミナー」が開かれた。科研製薬株式会社の主催によるもので、産学連携によって気象データのビッグデータを活用し、多汗症の全国的な受診タイミングを予測するというプロジェクトで、科研製薬、日本気象協会、JMDC、長崎大学が協力している。
セミナーに登壇した長崎大学の医歯薬学総合研究科皮膚病態学教授の室田浩之氏は、多汗症の定義について「頭部、顔面、手掌、足底、腋に、温熱や精神的負荷の有無いかんに関わらず、日常生活に支障をきたすほどの大量の発汗を生じる状態」と説明。その原因も、様々な要因があると語った。
様々な皮膚のトラブルをもたらす多汗症だが、近年、新しい治療法が開発され、治療選択肢は増えているという。ただ、2020年度のアンケート調査では医療機関への受診経験率が4.6%と低く、患者が自分が受診するきっかけなどが必要なのだともいう。
こうした問題を解決するのが、多汗症前線である。花粉飛散などを予想する前線のように、わかりやすい形で、「汗をかきやすい季節になったから、そろそろ病院に行こうかな」というように患者に受診のきっかけとなる日付を提示することを目標としている。
気象データが重要となるプロジェクトであるため、テレビでもお馴染みの気象予報士の天達武史氏も登壇。2025年の春から夏にかけての気温について解説した。
天達氏によると、2025年の夏も「また猛暑」となる見込みだという。6月には猛暑日が観測され、東京では6月15日が多汗症受診ピーク時期の目安になると、天達氏は語った。
セミナー内では、NPO法人多汗症サポートグループの代表理事である黒澤希氏を交えてのトークセッションも行われた。セッション内では、「人との密集を避ける」「こまめに休憩する」などの多汗症患者の日常生活での工夫も紹介された。
汗に悩む人々へのメッセージを求めらると、長崎大学の室田氏は「多汗症前線が多くの患者さんの受診の菊花っけになれば」、気象予報士の天達氏は「世界的に気温が上がっているので、早めの対策を」、多汗症サポートグループの黒澤氏は「自信をつけるきっかけとして、ぜひ受診してほしい」と語った。
科研製薬ではサポートサイト「ワキ汗治療ナビ」(https://wakiase-navi.jp/)を運営し、自分の現在の状態をチェックするための「ワキ汗セルフチェックシート」も発表。今後も情報発信を続けていくとのことだった。