【2025年11月13日 マニラ発】
11月9日にフィリピンに上陸した超大型台風26号(国際名:「フォンウォン」)により、170万人以上の子どもが影響を受けている中、ユニセフ(国連児童基金)は迅速な緊急支援を続けています。
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この猛烈な台風は、今年すでに複数の気候関連災害や地殻・地質活動に起因する災害に見舞われ疲弊しているフィリピンの16地域で、子どもたちの住まいや学校、保健サービスに深刻な被害をもたらしました。
ユニセフ・フィリピン事務所代表のキム・キョンソンは次のように述べています。「子どもとその家族は、一つの危機からようやく抜け出そうとした矢先に、次の危機に見舞われ、振り出しに戻されています。世界で、気候ショックの発生頻度が増え、その深刻さも増している中、最も脆弱な子どもたちが最大の代償を払うようなことがあってはなりません」
今年フィリピンを襲った中で最も強い、台風26号は、今週初めに全土を横断し、政府の発表によると517万人以上に被害を及ぼしました。その中には、急性呼吸器感染症、下痢性疾患、メンタルヘルスの不調、栄養不良、学習の中断といったリスクにさらされる子どもが多数含まれています。家屋、学校、保健施設が損傷または全壊し、多くの家族は過密状態の避難所に身を寄せるしかありません。
1万5,000以上の教室がさまざまな程度の被害を受け、900校以上の公立学校が一時避難所として使用されています。子どもたちは学び、遊ぶための安全な場所を失い、心理社会的支援や子どもの保護サービスが緊急に必要とされています。
過去4年間、フィリピンは世界リスク指数(World Risk Index)で「世界で最も災害の多い国」とされており、気候危機の影響で猛暑や台風、豪雨などの自然災害が一層深刻化しています。
「私たちは多角的なアプローチを推進しています。命を守る緊急支援を提供すると同時に、子どもを中心に据えた気候政策、気候に対してレジリエント(強靭)な社会サービスの整備、そして地域を守るための気候資金の確保に取り組んでいます」(キム代表)
現在、水と衛生・保健・栄養・教育・子どもの保護・社会的保護の各分野における緊急ニーズを特定するためフィリピン政府とパートナー団体との共同評価が進行中です。また、マニラおよび南部のコタバトにあるユニセフの倉庫に事前配備されていた緊急物資が、被災家族の下へ迅速に搬送されています。
ユニセフはまた、栄養不良の子どもが治療を受け続けられるよう、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)や治療用ミルク、母乳育児キットなど栄養分野の緊急支援物資も提供します。
ユニセフは、国連中央緊急対応基金(CERF)の支援を受けて、最も被害の大きかった州の一つであるカタンドゥアネス州の脆弱な世帯に、54万米ドルの緊急現金給付を実施する準備を進めています。今後、フィリピンの中核的な社会保護プログラムを通じて支援ニーズを再評価しながら、支援対象を拡大する予定です。
台風26号の前にも、ユニセフは今年10月以降に発生した台風や地震への支援として、セブ州、東ダバオ州、ディナガット諸島州の約6,000世帯に衛生キットと給水キットを提供しています。