やはり、前述のように「お金、マネー」が一番影響の大きな領域となると考えます。誰もが日常生活において高頻度で利用するものだからです。ブロックチェーン技術が飛躍的に普及するきっかけになるのがどのようなアプリかはしばしば目にする議論ですが、私は本当にきっかけを作るキラーアプリとなるのはやはりお金だと思います。

ただし、もちろん他の領域にも影響を及ぼすことになるでしょう。たとえば、SNSのネットワークにブロックチェーンを活用するというのは非常に意義ある取り組みだと思います。

例えば、トルコなど政府がSNSを管理している国においては、SNS上で政府に都合の悪い発言をしても削除されてしまいます。こうした国家による検閲から自由なソーシャルメディアを、ブロックチェーンを利用して作成するという行為には大きな意味があります。表現の自由をブロックチェーンで担保するということです。

各国の表現の自由度をランキングにしたとある調査では日本が67位、アメリカは45位という結果が出ています(Reporters without Bordersの「2018 World Press Freedom Index」より)。表現の自由を確保することは民主主義に非常に重要なことです。ブロックチェーン技術は、言論弾圧をなくすことができる可能性があると思っています。

(つづく~「Bitcoin.com CEOロジャー・バー氏インタビューvol.2「ショットガン投資法」【フィスコ 株・企業報】」~)

【ロジャー・バー Profile】
1979年1月27日生まれ。アメリカ合衆国カリフォルニア州出身。仮想通貨ニュースサイトおよび仮想通貨ウォレット事業やクラウドマイニング事業などを多角的に展開するBitcoin.comのCEO。仮想通貨関連スタートアップのエンジェル投資家。仮想通貨の黎明期である2012年頃から、海外送金に特化した仮想通貨プロジェクトとして注目されるリップルや、仮想通貨オンライン・ウォレット・プロバイダー、仮想通貨取引所への投資を行っており、仮想通貨界隈で大きな発言力を持つ人物の一人。

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