東ローマ帝国の首都コンスタンティノープルを1453年に攻略したオスマン帝国のスルタン、メフメト2世。彼が街の経済復興のために建設を命じたイスタンブール旧市街にあるグランドバザールは、いまや中東最大級の屋根付き市場として知られており、現在に至るまでその面積を拡大しながら営業を続けています。

イスタンブールを代表する観光名所でもあるグランドバザールでは、トルコランプや香辛料、トルコ絨毯、陶器や貴金属など、ありとあらゆるトルコらしい商品が販売されており、オスマン帝国時代の雰囲気を感じながらお土産を探すにはぴったりの市場です。

グランドバザールは、メフメト2世の時代に起源を持ち、16世紀のスレイマン大帝の時代にさらに拡大されました。その後、18世紀のチューリップ時代、当時の大宰相によってバザール内に建設されたのがチュハジュ・ハンです。

チュハジュ・ハンは長方形の中庭を持つ二階建て構造になっており、グランドバザールの一部を形成しています。一面が屋根に覆われたバザールの雰囲気とは打って変わって、中庭部分が吹き抜けになっているため、明るく開放的な空間を造りだしています。

18世紀、オスマン帝国は対外国と戦乱をしない平和な時代を迎えました。1713~1730年頃のことで、西欧から改良されたチューリップが輸入されて普及し、イスタンブールの街を美しく彩ったことからチューリップ時代といわれています。

当時のスルタン、アフメト3世の娘と結婚し、大宰相を務めていたネヴシェヒルリ・ダマト・イブラヒム・パシャは、西欧諸国に使節を派遣し、オスマン帝国に積極的に西洋文化を取り入れ、それらを参考にしながら、帝国の領土内にモスクや泉亭、学校、公衆浴場(ハマム)などを造りました。

チュハジュ・ハンは、そんな彼が建設を命じたチューリップ時代の建造物の一つなのです。当初は、羊毛製品(チュハ)で商売をしていた人たちのために造られましたが、時代が経つと宝石商や銀細工商がハンの中に工房を持つようになりました。

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