9月2日、最新のAIサービスを提供する株式会社コージェントラボと、日本初の情報記録専門保管会社で創業60年を迎える株式会社N Xワンビシアーカイブズが、資本業務提携の締結を発表。さらに締結後の新たなサービスの第一弾として「SmartRead PLUS+(スマートリードプラス) 」をリリースした。

「AIエージェント元年」とも呼ばれる2025年。ビジネスシーンだけでなく実生活でも生成AIが浸透してきた実感がある今日。しかし、AI導入を掲げつつも日本企業のDX化は、取り分け中小企業において順調に進んでいるとは言い難い現状だという。DX化は日本の人口減少による労働力不足解決においても重要な変革であり、2035年には384万人(外国人労働者を含む)もの労働力不足が想定されている。そうした問題を解決すべく発表されたのがこのほどの業務提携と新サービスの提供だ。

「業務自動化を本当に実現するには、AIと人間による確認、補正のプロセス、これを組み合わせることが重要、必要だというふうに考えております。当社のオペレーションサービスとコージェントラボ社の持つ最新のAI技術の融合。AIの判定結果をお客様の代わりに私どもが確認、補正することにより、真の業務自動化が実現できると確信をしております」。と、N Xワンビシアーカイブズ 代表取締役社長 髙橋豊氏。

同社は天災への備えとして企業の書類やデータのバックアップなどの保管サービスを金融機関レベルの高度なセキュリティのもと、長年に亘り提供してきた実績がある。

一方、株式会社コージェントラボはOCRのパイオニアとして、2017年に日本初のAI搭載非工学文字認識である「Tegaki」などをリリースした実績があり最新のAI技術が強み。コージェントラボ代表取締役社長CEO エリック・秀幸・ホワイトウェイ氏は今回の提携について次のように述べた。

「多くの業務プロセスは100パーセントに近い精度を必要としています。AIは強力なツールですが、AIだけでは不十分です。そこに信頼と保証がなければ導入は停滞してしまいます。我々は精度と信頼性を確保するために、“ヒューマン・イン・ザループ(Human-in-the-Loop)”人による監督とAIを組み合わせることの必要性を認識しました。そこでこのほどの提携が重要になります」。

ヒューマン・イン・ザループとは、システムの構築や運用においてデータの生成、注釈付け、モデルのレビュー、評価などに人間の判断やフィードバックを意図的に組み込む設計思想。「SmartRead PLUS+(スマートリードプラス) 」は、人間とAIが協働で高度かつ安全なシステム運用のスキームだ。

これまでは「仕分け」「読み取り」「確認・補正」といった各段階で誤りがあった場合には、委託した企業側で作業しなければならず工数が減らない状況があった。しかし、今回の「SmartRead PLUS+(スマートリードプラス) 」ならば文書処理業務を一気通貫して任せることが可能になる。

両社はすでに協働で数件の事案に取り組んでいる。ある化学メーカーの事例では、労働力減少による技術の伝承が課題となっていたという。蓄積されていたのは数百万枚に及ぶドキュメント、手書きのメモや紙の文書といった形態だ。それらをデータ化し実装。実装後、現役社員が経験したことのない事象が発生したがAIに聞くと過去に一度だけ同じ事象があり、適切な対応を指示してくれた。そのおかげで工場を停止することなく利益の損害も回避にもつながったという好例だ。コージェントラボの高速エンジンとN Xワンビシアーカイブズのデータ処理技術が可能にした結果だという。

日本の企業のDX化がなかなか進まない要因としては、システム上でのデータ連携が十分でないことや、そもそも手書きの伝票などを人の手で入力する、データのチェックを行うといったことを企業自らが“自炊”しようと多くの時間を割かざるを得ないことにもある。

何年何十年と蓄積した膨大な情報は、必要な時に使えるデータとして瞬時に取り出せなければ意味がない。その情報は高いセキュリティのもとに管理されているということも必要だ。今回の業務提携は両社の強みを高次元で組み合わせたサービス、大いに期待が高まる。