照明や光源などの光に関する製品で知られるウシオ電機株式会社が、ウイルスを不活化し、なおかつ人体には無害な紫外線光源「Care222™」の販売を開始する。8月26日に同社の本社ショールームで開かれたCare222™の発表会では、東芝ライテックとの業務提携も発表された。
ウィズコロナの時代をどう乗り越えるかが、全世界的な課題となっている。ウィルス対策として紫外線は有効だが、同時に人体にガンや白内障などをもたらす危険性があるという問題も存在していた。
独自の光学フィルタを組み合わせることで紫外線から有害波長を除去して、その問題を克服したのが、Care222™(ケアツーツーツー)だ。この安全な紫外線の技術は、アメリカのコロンビア大学との共同研究により実現した。ウシオ電機は、2015年にコロンビア大学とこの技術に関する独占ライセンス契約および研究委託契約を締結している。
なお、Care222™の「222」とは、222nmの紫外線のことである。波長が222nmの紫外線は高い殺菌力を持ちながら人体に影響がない波長であり、新型コロナウイルスにも有効であることが分かっている。
Care222™の3つのステップ
ウシオ電機が今回発表した、Care222™の製品はふたつだ。1つ目は、そのまま設置して使用することが可能な「Care222™ U3ユニット」。2つ目は、他メーカーなどが製品に組み込むための「Care222™ 光源モジュール」。
Care222™ U3ユニットは9月より発売が開始され、販売価格は税別30万円。医療機関や公共施設などに優先して提供を行なうため、現段階では個人に販売する予定はない。Care222™ 光源モジュールは今秋から出荷され、価格は税別数万円となる予定だ。
Care222™の今後の展開として、ウシオ電機が3つのステップを想定していることも発表された。最初のステップ1は空間インフラ市場での展開であり、照明機器、空調設備、昇降機などでの使用を想定している。次のステップ2はMaaS(Mobility as a service)市場での展開であり、自動車、電車、航空機、船舶などでの使用を想定している。最後のステップ3は医療機器市場での展開であり、治療機器、除染機器、感染予防機器などでの使用を想定している。
コロナ禍収束後も市場は拡大すると予測
この日、東芝ライテックとの協業も発表された。Care222™ 光源モジュールを搭載した製品をウシオ電機と東芝ライテックで共同開発し、同時にCare222™ 光源モジュールを用いた自動車や鉄道車両用の装置や一般照明器具の開発に関して業務提携するという。
東芝ライテックは130年にもわたる東芝の照明事業を受け継いでいる会社であり、前述のCare222™の3つのステップのために両社がそれぞれの強みを活かした協業体制が組まれることになる。
発表会に登壇したウシオ電機の内藤宏治代表取締役社長は、UV殺菌装置市場が急速に増大しているとコメント。「Care222™で2022年度に最低でも100億円の売上を成し遂げたい」と述べた。また、コロナ禍を体験したことで人びとの衛生面に対する意識が変わったことにより、新型コロナウイルスの収束後も市場は伸びていくだろうと推測した。