石川県の加賀市が、行政手続きをデジタル化するツール「LoGoフォーム電子申請」の導入を全国に先駆けて開始した。812日には、サービスに関する記者発表会見がオンライン上で行なわれた。

会見には、宮本陸市長、xID株式会社の日下光CEO、株式会社トラストバンクの川村憲一代表取締役と木澤真澄取締役兼パブリテック事業部長が登壇した。

加賀市の行政手続きのデジタル化は、デジタル身分証アプリ「xID(クロスアイディー)」と自治体職員が簡単に行政手続きやアンケートフォームが作れるツール「LoGoフォーム(ロゴフォーム)」を使用して行なうもので、対面、紙、ハンコに頼らず、24時間いつでも待ち時間ゼロで、役所に足を運ばずにどこでも手続きが可能になるという。

xIDは、デジタル化政策が進んでいることで知られるエストニアで誕生したデジタル身分証アプリ。xID社が開発したこのアプリをダウンロードしたスマートフォンでマイナンバーカードを読み取って個人認証を実施することで、マイナンバーカードを持ち歩かなくても、スマホを使って簡単に本人認証をすることができるようになる。本人確認のためのコストを大幅に削減できるアプリだ。

LoGoフォームは、トラストバンクが開発した行政申請フォーム作成ツール。専門的な知識や技術を持たない人でも、簡単にアンケートや申し込みのWEBフォームを作成できる、自治体専用のツールだ。

自治体と住民の双方にメリットがあるデジタル化

加賀市が導入したLoGoフォーム電子申請は、xIDLoGoフォームをAPI連携させたサービス。自治体側は職員がすばやく簡単に申請フォームを作成することができ、住民側はスマートフォンで手軽にいつでもどこでも手続きを行なうことができる。自治体にとっては業務が効率化され、住民にとっては利便性が向上するので、両者にメリットがある。

コロナ禍の現在、行政のデジタル化を望む声が高まっているが、日本においては進んでいないのが実情だ。そんな中、加賀市は2018年には「ブロックチェーン都市宣言」を行い、2019年にはxID社と連携協定を締結するなど、デジタル化に力を入れてきた。今回のLoGo フォーム電子申請もその取り組みの一環だ。

加賀市では、まず人間ドックの助成金申請でLoGo フォーム電子申請が取り入れられるが、今後は様々な行政手続きに広げていきたいと考えている。また、行政でのサービスだけに終わらず、さらなる普及のために民間サービスにも連携させたいとのこと。他の自治体での導入にも意欲的なので、この動きがどう広がっていくのか注目したい。