ウェディング事業の株式会社テイクアンドギブ・ニーズ(以下、T&G)が、5月18日(水)にホテル事業発表会を実施。新規出店が決まっているホテル3店舗についての発表と、ホテル事業に関するビジョンについての発表が行なわれた。

会場となったのは、T&Gが2017年に東京・渋谷にオープンした「TRUNK(HOTEL)」。T&Gの代表取締役会長の野尻佳孝氏が登壇して発表を行なった。

現在、T&Gグループの売上高はウェディング事業が90.7%、ホテル事業が8.2%という割合だが、2030年度に向けてホテル事業を急成長させて、ウェディング事業に並ぶ会社の柱にしたいという。

野尻氏は、ウェディング業界と同じようにT&Gがホテル業界においてもリーディングカンパニーになることを目指すと宣言。そのために、日本でブティックホテルの市場を確立させると語った。

コンセプトとクリエイティビティを重視するのが、ブティックホテル

ブティックホテルとは、店舗ごとのコンセプトとクリエイティビティがセールスポイントとなるホテルのことで、野尻氏は「コピペがない」ホテルだと表現した。そして、海外で市場拡大しているのがブティックホテルなのだと語った。

ブティックホテルのホテル業界内でのポジショニングについて、野尻氏は「ラグジュアリー」というコンセプトを使って解説した。野尻氏によれば、ホテルにおけるラグジュアリーは顧客のライフスタイルと価値観に合わせて多様化しているという。

現在のラグジュアリーは、「トラディショナル」「ノーム」「エッジー」「ディスラプティブ」の4タイプに分類される。トラディショナルは伝統や格式を求めるもので、従来のラグジュアリーに近い。ノームはコスパを重視した、コンサバティブなもの。エッジーはトレンドの先端を求めるもの。ディスラプティブは振り切った刺激や体験を求めるもの。

この4タイプの中で、エッジーとディスラプティブのカテゴリーに当てはまるのがブティックホテルだ。T&Gが展開するホテルも、エッジーラグジュアリーとディスラプティブラグジュアリーに該当するブティックホテルである。

サスティナビリティ活動で新たな付加価値を創出

発表会の会場である、TRUNK(HOTEL)もディスラプティブラグジュアリーホテルだ。振り切った刺激や体験を求める富裕層をターゲットにし、CSV(CREATING SHARED VALUE)戦略を重視している。

環境や多様性に配慮して、地域貢献につながる活動も行ない、それを支持する人々も顧客としてTRUNK(HOTEL)を訪れるという。

TRUNK(HOTEL)は海外の様々なアワードを受賞し、海外からの顧客を含めて多くの支持を獲得しているが、そうした評価の根底にはCSV戦略が生み出す新たな価値があるのだろう。

3店舗の新規出店が決定

現在、新規出店が決定しているのは、2023年開業予定の「TRUNK(HOTEL)YOYOGI PARK」、2027年3月ごろ開業予定の「TRUNK(HOTEL)DOGENZAKA」(仮称)、2027年ごろ開業予定の「EVOL HOTEL KOBE」(仮称)である。

「TRUNK(HOTEL)YOYOGI PARK」は現在注目を集めている“奥渋”にオープンする。ホテル最上階のスイートルーム、ルーフトッププール&バーからは代々木公園を一望できる、都会型リゾートだ。

「TRUNK(HOTEL)DOGENZAKA」は、渋谷の大規模再開発である「道玄坂二丁目南地区第一種市街地再開発事業」内で作られる。渋谷駅に直結していて、こちらもルーフトッププール&バーを設置。その他、ルーフトップレストラン、シアタールーム、スパなども備える。

「EVOL HOTEL KOBE」は神戸三宮駅前の大規模再開発である「神戸三宮雲井通5丁目地区第一種市街地再開発事業」内で作られる。駅直結で、エリア最大級の複合施設内にオープンする。最上階のプール、テラス付きレストラン、バー、スパなどを備える。

世界的なファンドとも提携

この3店舗に加えて、2030年度までに26店舗の新規出店を目指すとのことで、その26店舗の中では海外展開も見据えているという。

ホテルの出店に関してはアセットライトの手法を重視してスピーディに事業を拡大し、ファンドとの提携や運営委託も行なうということも発表された。発表会の中でファンドの具体的な名前は明かされなかったが、世界的なファンドと提携して事業を展開していく予定とのことだった。

野尻氏はブティックホテルの市場を国内で作るため、ノウハウもオープンにすると語った。そのことで他社の参入も促して競合を増やすとのことなので、T&Gをふくめてホテル業界の今後の動向に注目したい。