野党6党はGW前の4月27日の衆院本会議を欠席したことで、ついに「17連休」に突入することが決まった。審議をボイコットするのは、日本維新の会を除く立憲民主党、民進党、希望の党、共産党、社民党、自由党の6党。仮に5月7日に国会が正常化したとしても、じつにミニマムで17連休、その後も審議の日程が決まらなければ、期間はさらに延長される。
野党6党にも言い分はある。野党は連日、衆院の「第16控室」で野党合同ヒアリングに勤しんでいるという主張だ。ここでは、財務次官セクハラ疑惑、加計学園の「首相案件」問題、自衛隊イラク日報問題などが話し合われている。だが、その間に今国会で「最重要法案」と位置づけられる「働き方改革法案」が与党のみで審議され、世界では南北首脳会談をめぐり北朝鮮情勢が大きく激動した。これでは「ズル休み」と言われても致し方ない。
4月29日の朝日新聞では国会の惨状を「働き方改革 国民不在の数の横暴」と題した社説で、「(安倍)首相のメンツにこだわった、国民不在のやり方ではないか」と与党批判を展開している。法政大学教授・山口二郎氏(59)の「与党だけで国会を開いて勝手なことを並べることに、腹が立つ」というツイートにも注目が集まっていた。
しかし、ソーシャルメディア上では、野党6党への声がとりわけ厳しい。「もはや国民が『最大9連休』などと喜ぶんでいるのが悲しく思える」「選んだ地元民としての見識が疑われる。もう地元に帰ってこないでほしい」などと、朝日新聞の社説とは正反対の反応を見せている。
また、国会を休むのであればと、野党6党議員に「歳費の自主返納」を促す声も少なくない。国会を欠席しても、約2100万円の歳費と1200万円の文書通信交通滞在費は満額で支払われる。ならば、せめて自主返納するという声がなぜ野党から起きないのか、という議論も起きている。
■民間企業だったら懲戒解雇もやむなし
はたして、党利党略のために行われるボイコットに問題はないのか。
衆議院規則には『議員が事故のため数日間議院に出席できないときは、その理由を附し日数を定めて、予め議長に請暇書を提出しなければならない』(181条)とあり、これに対して『議長は、七日を超えない議員の請暇を許可することができる。その七日を超えるものは、議院においてこれを許可する。期限のないものは、これを許可することができない。』(182条)とされている。
まつさと法律事務所の金沢幸彦弁護士は、「衆議院議員には委員会等への出席義務がある」として、以下のように解説する。
「衆議院規則その他には急な事故の場合や出産の場合(185条)を除いては、欠席することを正当化するような条文はありません。したがって、党利党略のため国政を停滞させ国民全体の利益を害するような、野党のボイコット的な欠席が正当化される余地は少ないと考えます」
議員の「欠席のハードル」は本来とても高いはずだ。15年3月には上西小百合議員(35)が衆院本会議を体調不良で欠席した翌日に温泉に行って物議をかもしたことも記憶に新しい。それほど、何か特別な理由がない限りは本来国会は欠席することは許されないはずだった。
「これが民間企業だったら、『会社の経営陣のやりかたが気に食わないから17日間出社しません』などと言いだせば、”懲戒解雇”されても仕方がないところ。野党の大義名分は、控えめにいっても、法令や国民の一般常識から大きくかけ離れたものというしかありません」(同弁護士)
野党6党の長期休暇は、GWが終わっても、まだまだ続けられる予定だとしたら、それこそ国民の声を聞いていないに等しい。彼らは自分たちの行為の無意味さにいつ気付いてくれるだろうか。