■バー氏自身が、仮想通貨決済の利便性が高まるよう積極的に動かれていらっしゃると思います。仮想通貨関連企業が数百社設立されるなど仮想通貨事業を地域に根づかせることに積極的なスイスのツーク市は、シリコンバレーならぬ「クリプトバレー(仮想通貨の谷)」と呼ばれていますが、今後このツーク市のような“新たなクリプトバレー”を目指す韓国・済州島の地方政府がバー氏に協力を要請したという件について教えてください。

先日カンファレンスで韓国を訪問した際、済州島の地方政府からの要請で30分ほど政府幹部とミーテイングを行いました。そこで、ビットコイン・キャッシュの利用を体験してもらい今後、私がCEOを務めるBitcoin.comでは済州島の様々な場所でビットコイン・キャッシュ決済を導入できるようにサポートしていくと約束しました。済州島は今後、ビットコイン・キャッシュの決済導入の先進地域となると思います。

訪れるまでは知らなかったのですが、済州島は韓国の他の地域とは異なる統治のされ方をしており、韓国と異なる政策決定を行うことができます。今後、地方政府が済州島を「新たなクリプトバレー」となるべく注力していく方針であるため、ビットコイン・キャッシュは実際に広く導入されることになるでしょう。ビットコイン・キャッシュを利用したいという人にとって非常に魅力的な場所になると思います。

また済州島は、韓国から離れて独自の法規制を敷くことが可能であるという利点を生かして新しい企業誘致のための制度を整備していく構えだと聞いています。Bitcoin.comはビットコイン・キャッシュATMの設置や、決済導入店舗の拡大、また空港でのビットコイン・キャッシュ受け入れなどを進めて、魅力的な環境整備に取り組む予定です。

ビットコイン・キャッシュはまた、もし早ければ年内にも日本に数万店舗を展開するコンビニエンス・ストアで決済を受け付ける方向で検討が進められています。もしも実現すれば、普及への大きな一歩となると思います。「お金」の形を変えるという大きなポテンシャルを持つ仮想通貨とその関連技術には、大きな可能性があると信じています。

【ロジャー・バー Profile】
1979年1月27日生まれ。アメリカ合衆国カリフォルニア州出身。仮想通貨ニュースサイトおよび仮想通貨ウォレット事業やクラウドマイニング事業などを多角的に展開するBitcoin.comのCEO。仮想 通貨関連スタートアップのエンジェル投資家。仮想通貨の黎明期である2012年頃から、海外送金に特化した仮想通貨プロジェクトとして注目されるリップルや、仮想通貨オンライン・ウォレット・プロバイダー、仮想通貨取引所への投資を行っており、仮想通貨界隈で大きな発言力を持つ人物の一人。

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