ただ松本氏は、上から一方的に規制することが解決策にはならないだろうと指摘。「体制側とデジタル・コミュニティー側で一緒に考えていかなければならない」と話した。

例えば、インターネットのプロトコルは、政府が決めているわけではなく、ICANN(アイカン)などのエンジニアや学者集団であることを例に挙げた。ICANNは、インターネットのドメイン名やIPアドレスなどを管理する米国の非営利団体だ。同氏は、仮想通貨のルールづくりも各国の政府がバラバラのことをやるのではなく、ICANNのようなグローバルなコミュニティーが、自己規律していくのが最終的な形だろうとみている。税制面の課題も、「インフラを守る上で薄くタックスし社会に還元する」仕組みを作ることで、解決されるのではないかと予想した。

仮想通貨のイメージ刷新に必要なことは?

国内における仮想通貨のイメージは悪くなるばかりだ。1月にコインチェック、9月にZAIFで巨額ハッキング事件が発生し「仮想通貨=危険」というイメージがついた他、最高値から80%以上も下落したビットコインについては「もう終わりだ」という声が聞かれる。また今年の流行語大賞では、なぜか「仮想通貨/ダークウェブ」がセットで候補に選ばれた。
こうした現状を打破するためにはどうすれば良いのだろうか?松本氏はトレーディングの対象としての仮想通貨ではなく、実際の社会で有用な使われ方をするトークンやコインが出てきて、それが『実は仮想通貨なんですよ』という展開がないといけないと予想した。

「例えば、マーケティング用にコカ・コーラ社によって「コーク・コイン」が配られて、もらった人はコンビニやレストランでコーラが買える。コーラ以外に綾鷹などコカ・コーラ社の製品は買えるが、ペプシは買えない。一方、コインを受け取った店舗側は、そのコインでコカ・コーラ社の製品しか仕入れられない」

また松本氏は、政府などによる中抜きが問題となっている貧困国に対する寄付の現状にも言及。ブロックチェーン技術によって、資金の流れの透明性を担保し、寄付をしたい人に直接渡せるような仕組み作りも、社会的に有用な例の一つにあげた。このように社会にとってプラスとなるような実例が出現し、振り返ってみると仮想通貨やブロックチェーン技術だったという流れになることで、仮想通貨のイメージが変わるのではないかと松本氏は考えている。

(『「投資家よ、アクティビストたれ」マネックス松本CEO が仮想通貨投資家に伝えたいこと Vol.2』へ続く)

(記事提供:コインテレグラフ日本版)
コインテレグラフ日本版は世界中で読まれている仮想通貨ニュースメディア大手「Cointelegraph」の日本語版です。新聞社やTV局出身者で構成される編集部が海外チームと連携しながら、仮想通貨相場を動かすニュースを発信し続けています。

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