仮想通貨に関する最近のニュースは、ビットコインの暴落が中心だ。しかし、下げ相場でも、仮想通貨は「主流」になりつつある。オハイオ州は11月末からアメリカの州として初めて、ビットコインで納税できるようになった。オハイオがビットコインを合法的な支払い手段と見なしているという、明確なメッセージだ。
この新たな取り組みは、表面上は、税金を納めやすくするためだ。ブロックチェーンによって手数料が安くなり、モバイル決済が可能になって、支払いをリアルタイムで追跡できるようになる。
ただし、利便性だけの話ではない。オハイオ州は、アメリカ中部に「クリプト・バレー(仮想通貨バレー)」を築こうとしているのだ。
仮想通貨納税を提唱したジョシュ・マンデル州財務長官(41)はLongHashの取材に対し、「とびきり優秀な開発者や起業家を、シリコンバレーやニューヨークからオハイオに引き付けたい」と語る。
オハイオは「アメリカのブロックチェーンの都」を目指すと、マンデルは続ける。ビットコインによる納税は、全米に向けて、オハイオがブロックチェーンを支持するだけでなく、ブロックチェーン関連の事業を始めたいソフトウエア開発者や起業家を歓迎することを、知らしめるひとつの手段でもある。
シンガポールや東京、マルタでも、自治体などが仮想通貨を推進する施策を導入して、ブロックチェーンのハブになろうとしている。とはいえ、納税にまで踏み込んだのは、アメリカではオハイオ州が初めてだ。ウォールストリート・ジャーナル紙によると、アリゾナ、ジョージア、イリノイの各州もビットコインによる納税を検討してきたが、関連法案は州議会を通過できずにいる。
「政治家や官僚は、自ら決断を下すことを恐れる。実際に決断して行動を起こすのではなく、延々と検討を続けるだけだ」と、マンデルは言う。「私は(ビットコインによる納税は)オハイオの納税者にとって良いことだと思い、決断した」
ビットコイン納税を希望する企業は、「OhioCrupto.com(オハイオクリプト・ドットコム)」というサイトにオンラインで登録し、納税額と期限を入力する。そして、仮想通貨のウォレットから、アトランタを拠点とする決済処理業者ビットペイに税額分を送金。ビットペイは支払われたビットコインをドルに換金して、オハイオ州の口座に収めるという流れになる。
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