注目された自民党総裁選(9月20日に投開票)だったが、安倍晋三首相(64)が連続3選し、次の3年間の総裁任期を得た。同日に公開された票数は、安倍は国会議員票329票、党員票224票の計553票。石破茂氏(61)は国会議員票73票、党員票181票の計254票。大方の自民党支持者対象の世論調査と同じく、首相がダブルスコアで石破氏を圧倒する結果となった。
だが、この結果を受けたテレビ・新聞メディアの反応は「石破氏の善戦」と解釈する、意外なものが目立った。
「石破善戦」をアピールしたいのか、それともそう信じたいのか。石破の地方党員票が予想を上回ったとはいえ、まるで勝利した安倍首相が地方から「NO」を突きつけられ、大敗した石破氏にこそ理があると言わんばかりの物言いである。善戦を主張するのは、彼を応援していた立憲民主党や社民党を支持する層や、さらに投票前から石破氏をサポートしていた左派系メディア、つまり「アベガー!」と声高に安倍憎しを叫んでいた人たちだった。
だが、本当に石破氏は善戦したのだろうか? SNS上にこんなデータを上げて話題を呼んでいる人物がいる。
24年に行われた、前の総裁選での得票率に注目してほしい。この時は安倍、石破に加え、町村信孝、石原伸晃、林芳正の5人の議員が立候補。まず引用にある「第一回投票」が行われ、石破氏が圧倒的な地方票(党員票)で安倍首相をリードして1位になっている。その時の党員票の得票率は安倍首相「29%」で石破氏は「55%」と、すでに石破が圧勝していたのだ。
比べて、今回は首相が「55%(前回比+26%)」、石破氏「45%(前回比-10%)」と、むしろ人気を落としてるのは石破サイドの方だったのだ。ちなみに、この時は1位の石破が有効投票数の過半数(250票以上)に達しなかったため、石破と安倍の上位2名が、自民党国会議員(198名)による決選投票を行い、安倍108票、石破89票で雌雄が決している。
このデータを見ても、安倍首相が「地方からNO」などというのは言いがかりにすぎない。麻生太郎財務相が取材陣に「善戦? どこが?」と呆れるのも、無理もない話なのだ。
なにがなんでも”安倍憎し”のオールドメディア。総選挙で大勝しても「安倍首相が国民から支持されたからではない」と現実を認めず、今回は自民党支持でもないのに党内選挙に「石破氏の方がふさわしかった」と因縁をつける始末。国民の信託で選ばれた議員と、思想・信条を同じくする党員の総裁選びに物申すのは、それこそ彼らの崇め奉る”民主主義”を否定するのと同じではないのか。雑音に気を取られることなく、安倍首相には宿願である憲法改正に取り組んでもらいたいものである。