アウアーバッハス・ケラーゆかりの偉人はゲーテだけではありません。軍医としてドイツに留学していた森鴎外も、1885年の12月にこのアウアーバッハス・ケラーを訪れています。

ここで鴎外はゲーテの「ファウスト」を翻訳することを決意し、1913年に翻訳本の初版が発行されました。当時の鴎外の日記には、「ファウスト」を翻訳する喜びが綴られています。

そんな森鴎外の功績を称え、2009年には大地下室レストランの壁に幅3.16メートル、高さ1.8メートルにも及ぶ彼の壁画が描かれました。一人和服を着た鴎外は存在感たっぷり。世界的に有名なレストランに日本の偉人の壁画が描かれているなんて、日本人として嬉しくなりますね。

ほかにも「ファウスト」のさまざまな場面が描かれた壁画や、アウアーバッハス・ケラーのシンボル的存在の人形が乗った巨大なワイン樽などが置かれ、見ているだけで楽しめます。

もちろん料理もおいしく、おすすめは「ルーラード(Roulad)」と呼ばれる牛肉巻料理。ドイツのジャガイモ団子「クヌーデル」と紫キャベツとともにいただきます。

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