財務省の文書改ざん問題もひどいが、それよりももっとひどいのが政党改ざん問題である。民進党と希望の党が一緒になり国民民主党が結党された。もともとのこの二党にいた国会議員の数は合わせると100名を超えていたが、実際に新党に参加したのはその6割程度だった。マスコミの多くもこの新党の船出には辛辣な意見も多かったようである。ところでこの新党もまた過去の民主党政権の負の遺産を「改ざん」するひとつの政治的ゲームだろう。

民主党から民進党に名称変更し、その後大きく立憲民主党と希望の党、そして民進党に分裂した。その他にも無所属系のグループなどもいれて、民主党的なるものは転々と名前だけを代えただけで、実体的にはほぼ同じである。一般の人からすると、民主党政権時代にいた議員たちがいまどこに所属しているのか正確に言える人は少ないだろう。それが狙いではないかとも思えてきてしまう。ここでは民主党、その後の民進党にいた議員たちをまとめて「民主党的なるもの」とでも呼んでおこう。

この「民主党的なるもの」たちは、民主党政権時代の失政をまったく反省することはない。特に経済成果について、いまの安倍政権の経済政策よりも成果を誇ることが常態化している。例えば、雇用環境は民主党政権のときから良くなっていてそれが現状も継続しているだけだ、という意見である。

確かに失業率は民主党政権のときにも減少している。だが、これはあまりに経済状況が深刻で、職を探しても見つからないので求職自体を諦めてしまった人が増えた結果でしかない。それに対して安倍政権の経済政策(アベノミクス)以降は、経済状況が好転したので、求職意欲を失った人たちが大量に戻ってきた。しかもそれ以上にどんどん就職することが可能になったために失業率が低下したのである。

さて「民主党的なるもの」の代表である立憲民主党と今回の国民民主党の経済政策は共通するものがある。それは積極的な金融緩和への否定もしくは消極的な姿勢である。そもそも現状の雇用・経済環境の好転(それがまだ不十分であるということは筆者も積極的に認めている)は、事実上、金融緩和の効果である。だが両党ともにこの政策への肯定的な評価はない。

また財政政策では、立憲民主党はいまの経済状況での消費増税に反対のようだ。だがもし反対ならば、国会で積極的にその問題を論点にして全力を傾けるべきだが、同党がやっているのは「モリカケ問題」を中心とした国会戦術だけである。また国民民主党は、共同代表のふたりの出自を見てみると、なかなか味な組み合わせともいえる。

大塚耕平共同代表は日本銀行出身、玉木雄一郎共同代表は財務省出身である。出身母体でその人の政策観を評価するのは、通常はおススメしないが、それでもこの二人のいままでの発言から、日本を停滞させてきた財政再建主義(緊縮主義)や日銀の消極的金融政策以外のものはあまり見受けられない。

そもそも国会議員の数合わせを目的とでもしたかのようなその振る舞いと、それさえも達成できないレベルでは、良識がある国民の多くからは見向きもされないだろう。

政党改ざんこそ日本の民主主義の危機である。