海老天はぷりぷりとしており、エビのもつ味わいと丼タレとの相性は抜群だ。
インゲンの天婦羅は、インゲンの持つ食感や野菜本来の甘みを感じられ、丼のネタの中で、一服の清涼剤の役割を果たしている。
そして特筆したいのが、イカのかき揚げだ。
大ぶりにカットされたイカはプリプリ食感で、かき揚げ丼としてだけでも食べたいと思えるほどの味わい。
価格、味わい、雰囲気、そのどれをとっても理想の天丼と言っても過言ではなく、あの作家浅田次郎氏が自身の著書の中で「たまげるほどうまい」と評したほどの味わいに偽りがないことが分かる。
・お吸い物もお新香も美味しい
そして天丼の脇役も秀逸。
こちらのお店では、天丼と一緒にお吸い物とお新香も提供されるのだが、これがまた、秀逸なのだ。
透き通ったお吸い物には三ッ葉とそうめんのみ。
奥行きのあるお吸い物の味わいは非常に美味。
簡単だからこそ、ごまかしのきかないお吸い物はシンプルながらも、おいしい天丼に寄り添うベストなパートナーと言える。
そして、お新香。
こちらのお店ではキャベツを一か月塩漬けした自家製のお新香が供される。
少し酸味のある味わいは、おいしい天丼の味わいをキリッと引き締めてくれる。
神田の路地裏に佇む、老舗の天婦羅屋「八ッ手屋(やつでや)」。
ランチタイムの3時間しか営業しない、無骨なお店には、いままでも、そしてこれからも多くの人々が訪れるに違いない。
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