どの市場で運用しているかを問わず、投資家にとって11月の第3週は厳しい週だった。ビットコインなどの仮想通貨は過去1年間の最安値を記録。他の金融市場も同じような弱気展開で、多くの銘柄で株価は年初水準に戻ってしまった。かなり痛い目に遭った投資家もいただろう。

仮想通貨と株価が同じタイミングで下げたのを見れば、これは単なる偶然なのか、それとも両者は同じようなパターンを追って動いているのかという疑問が生じるのは当然だろう。

以前であれば、仮想通貨市場と既存の金融市場の動きの間に強い関連は明らかに存在しなかった。コインマーケットキャップがビットコインの相場の記録を取り始めた2013年から1年間を見ると、しばらくは動きのない時期が続いた後、11月に急騰して最高値をつけると、その後は少しずつではあるが下がり続けていた。

これと同じ時期のダウ工業株平均を比べると、相場の動きにはっきりした相関は見つからない。この1年間、ダウは徐々に上げ続け、ビットコインのように急騰もしなければ同じような下落もなかった。

だがこの2年間を見てみると、仮想通貨がメジャーな存在になるにつれ、その動きは以前と比べて他の金融市場の動きと連動しているように見える。

だが言うまでもないが、留意しなければならない点がある。まずは、ビットコインを初めとする仮想通貨の相場の動きは他の相場と比べてはるかに変動が激しいということだ。ビットコインとS&P500はほぼ同時に上がったり下がったりしていることが多いものの、値動きはビットコインのほうがはるかに激しい。第2に、連動して見えるからといってその背後に因果関係があるとは限らない。チャート上では同じ動きに見えたとしても、その一部、もしくはすべてが偶然の産物という可能性があるのだ。

チャートを見ていて特に興味深いのは、今年5月ごろに始まった動きだ。仮想通貨も株価も冬から春にかけて今年最高値を付けたものの、このころ相場は低迷していた。S&P500はここから反騰、秋になって過去1年間の最高値をつけ、その後下げに転じた。一方、ビットコインの相場は回復の兆しを見せることなく、最後の下げだけ連動した格好だ。

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