「おもてなし」の国、といえば日本ですが、実はトルコもまた、よその国から来た人たちをよくもてなす国として知られています。
今回は、トルコ人が一日に何杯も飲むトルコの紅茶「チャイ」を通じて感じられる「おもてなし」エピソードをご紹介しましょう。
ある日、イスタンブールの旧市街を歩いていたとき、景色があまりにも美しかったので立ち止まって、その景色を堪能していたときのこと。
ボスポラス海峡、金角湾を行きかう連絡船、モスクや新市街の丘の途中にそびえ立つガラタ塔、気持ち良さそうに飛んでいるカモメの群れにうっとりしていたら、すぐ隣の工房で作業していたおじさんがそっと近づいてきました。
「チャイを飲むかい?」と優しい笑顔でそれだけを尋ねられました。
「はい!ありがとうございます。」と答えると、おじさんは工房に戻っていきます。
しばらく、景色を眺めていると、おじさんは淹れたてのチャイを持ってきてくれました。
余計な質問をぶつけてくるでもなく、金銭を要求するでもなく、チャイを渡すとすんなり工房に戻っていき、金属音をたててまた作業を始めました。
帰り際、「チャイありがとうございました。おじさん良い一日を!」「あんたもね。また来てね。」と挨拶を交わし、その場を去りました。
あつあつのチャイとイスタンブールの美しい景観に、そして何よりもおじさんの心遣いに心癒された、旧市街での出来事でした。
また別のある日、ちょっと一人でゆっくりしたいなと思ったときに立ち寄るいつものスイーツショップにて。
夜9時を過ぎようとしている時間なのに店内はほぼ満席。
運よくいつも座る窓際の席がちょうど空いたため、そこへ座るようにと、感じのよい店員さんが案内してくれました。
お気に入りのトルコスイーツとチャイを注文して、窓の外の景色に目をやりながら、観光客や地元の人たちで溢れる店内をときどき見渡し、その日一日を振り返りながら心地よい時間を過ごしました。
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