イスタンブールで最も観光客が賑わうスルタンアフメット地区。
アヤソフィア博物館やブルーモスクの名で親しまれるスルタンアフメット・ジャーミィ、オスマン帝国時代の皇帝の居城であったトプカプ宮殿などの歴史ある建造物が密集しています。
ローマ帝国時代にもたらされたオベリスクなどの記念碑が立ち並ぶローマ競技場の北側の通りには、お土産屋さんやレストラン、カフェが軒を連ね、お祭りムードのように日々旅行者を楽しませてくれています。
現在ではこのローマ競技場周辺は観光客で賑わっていますが、近世のイスタンブールでは、ここには全く違うものがありました。
それが軍人(イェニ・チェリ)のためのお店です。
イェニ・チェリとは火器で武装した最精鋭のオスマン帝国の歩兵部隊。トルコ語でイェニは「新しい」、チェリは「兵隊」を意味しています。
14世紀から19世紀初頭まで存在していたオスマン帝国の常備歩兵軍団イェニ・チェリは、君主直属の精悦部隊として帝都の兵舎に住まわされていました。
彼らの兵舎はトプカプ宮殿からほど近いローマ競技場周辺に多かったため、この辺りには彼らのための日用品や遠征のときに必要な装備品や食糧を売る店舗が集中していたのです。
現在この場所で私たちが目にするのは、美味しそうなトルコ料理のレストランや、パフォーマンスが面白いトルコアイスのお店、スパイスの香りが外まで漂うエキゾチックなお土産物屋さんなどです。
しかし、当時は生臭い肉屋や火薬製造工房、弓矢工房、蝋燭製造組合など、いまでは想像もつかない景色がそこに広がっていたのです。
実際この通りは御前会議通り(Divanyolu Caddesi)となっていますが、トラムの一駅先からはイェニ・チェリ通り(Yeniçeriler Caddesi)と名前が変わっているほど。
そのくらいこの辺りはイェニ・チェリと関係性が深い場所だったのです。
何気なく訪れるいつもの場所も、視点を変えればいろんな歴史や過去が見えてきます。
イェニ・チェリに思いを馳せながらイスタンブールのローマ競技場を歩いてみると、新しい発見があるかもしれませんよ。
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名前 ローマ競技場
住所 At Meydanı Caddesi 17/C-19/A 34122 Fatih Istanbul Turkey