故郷でもない、足繁く通う常連客でもない、しかし一度でも「百萬里」(北海道釧路市若松町4-2)に行ったら最後。この店が故郷の店となり、いつまでもここでマッタリと焼肉を堪能したいと思うはずだ。
・年季という「悠久の時間」により刻まれた「昭和」百萬里はJR釧路駅前という栄えた場所にありながら、その雰囲気は昭和ムードを店全体から醸し出す、まさにレガシーともいえる焼肉屋。作られた「昭和的雰囲気の店」は星の数ほどあるが、この店には年季という「悠久の時間」により刻まれた「昭和」がある。
壁、換気扇、テーブル、お品書き、そしてそこで働く店員たち、そのすべてがエモーショナル。もちろんだが、肉もウマイ。高級志向の焼肉店が増えるなか、この店は安く美味しい肉を追求。
・真冬には暖をとるため常連たちが集まる雰囲気、美味しさ、そして暖、それらが絶妙で、訪れる者の心の琴線に触れるグルメを生む。真冬には暖をとるため常連たちが集まるし、黙々と食べる独り客、子連れの親子もいる。方言なのか、よくわからないおじさんの問いかけに店員のおばちゃんが返事をしているが、返事もよくわからなかった。だが、それがいい。
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