食事補助サービス「チケットレストラン」を提供する株式会社エデンレッドジャパン、従業員の様々な生活出費を補助する「freee福利厚生 ベネフィットサービス」を提供するフリー株式会社、旅行特化型福利厚生「リゾートワークス」を展開する株式会社リゾートワークスの3社による「#第3の賃上げアクション2026」が始動。その発表会が2026年2月12日に都内で行われた。
近年、物価上昇が続き、私たちの暮らしを圧迫し続けている。企業では、人材不足を背景とした賃上げが行われているものの物価高騰には追い付かず、従業員は生活向上を実感しづらい。同時に、コスト増による企業の「賃上げ疲れ」も顕在化している。そんな中で注目を集めているのが、福利厚生を活用し、従業員の実質手取りアップを実現する「第3の賃上げ」だ。
「第3の賃上げ」とは、福利厚生を活用した新しい賃上げ手法。給与とは異なり、福利厚生は一定の条件下であれば税金や社会保険料の影響を受けないため、賃上げで還元するよりも従業員は実質手取りを増やすことができ、企業の税負担も抑えることができる。その動きを2024 年 2 月よりいち早く「#第 3 の賃上げアクション」として展開してきたのがエデンレッドジャパンだ。同社の代表取締役社長・天野総太郎氏は、会の冒頭で「第3の賃上げ」の概念を説明。賃上げ支給の場合、企業が支給する金額に対して所得税、社会保険料がかかってくるものの、食事補助サービス「チケットレストラン」を利用した場合、所得税が非課税扱いとなり、実質手取りアップになるというメリットがある。また、割引クーポン、家事育児サポート等の福利厚生を拡大拡充していくことにより、従業員の生産性向上や採用強化、人材獲得などで企業側にも大きなメリットがある。エデンレッドジャパンでは、こうした動きを「第3の賃上げ」と定義。「食事補助上限緩和を促進する会」の幹事社として政府への働き方を先導してきた結果、物価高騰への対応策としてさまざまな政策を検討していた政府を動かし、令和8年度中に食事補助の限度額が現行の3,500円から75,00円(2 . 1倍)に引き上げられることとなった。これはじつに42年ぶりの改訂であり、「#第 3 の賃上げアクション」の大きな成果となった。
「#第 3 の賃上げアクション」は今年3年目になり、認知度は37 . 4%まで到達したというが、言いかえれば、まだ6割以上の企業が「第3の賃上げ」の価値を知らないという状況だ。天野代表は、「「第3の賃上げ」は従業員にとって今一番必要な支援であると確信している。企業にとっても、激化する人材競争下において、「第3の賃上げ」を戦略的に導入し、従業員の生活に歩み寄る姿勢を明確に打ち出すことが、他社との圧倒的な差別化につながり、選ばれる企業であり続けるために重要なであると考えている」と、生活支援及び人材不足へのソリューションであることを提言。「「#第3の賃上げアクション2026」では、物価高から企業と従業員を守り抜く、実質手取りアップと生活向上を、をキーメッセージに掲げて取り組んでいく。額面の賃上げだけでは届かない生活の豊かさを福利厚生というインフラで補完していく。食事補助というサービスが日本の社会インフラとなるよう、私たちの取り組みをさらに加速していきたい」とのことで、発表会当日より「第3の賃上げ導入応援キャンペーン」を開始。賛同企業3社が展開するすべての福利厚生サービスを期間限定で利用料無料、もしくは半額で導入できる。今後も「第3の賃上げ」認知度向上のための啓蒙活動や、物価高騰に合わせて食事補助の非課税枠が見直されるという仕組みづくりなどに取り組んでいくという。
続いて登壇したのは、フリー株式会社 エンパワーメントプロダクト事業部 福利厚生チーム 事業責任者の相澤茂氏。近年、中小企業が人材不足や従業員の退職によって倒産に追い込まれるケースが増えているが、その原因として人材確保のための「賃上げ疲れ」があると指摘。「第3の賃上げ」が福利厚生として有効であることから、フリーでは従業員の実質手取りアップ、可処分所得アップにつながるサービスを2つ展開していることを紹介。「借上社宅サービス」では、社宅という形で従業員の住宅補助を行う場合においては、特定のルールを満たしていれば税金や社会保険料の影響を受けないため、結果的に可処分所得の増加につながる。「ベネフィットサービス」では、映画館やカラオケ店、レンタカー、居酒屋といった日常生活の中で利用するサービスを利用回数無制限で割引利用できるという。こうしたサービスを中小企業が導入できるように、「1 ID あたり400円」と業界の中でも比較的安い料金帯で提供しているそうだ。また、6月30日までの「第3の賃上げ」導入応援キャンペーン中、初年度の年間基本料金が実質半額になるキャンペーンを行っている。
今回新たに賛同したという株式会社リゾートワークス代表取締役社長 柳田将司氏は、大学時代に2年休学して海外数十か国でバックパッカーをしていたということもあり、旅行に特化した福利厚生に着目。一般的に、宿泊についての福利厚生サービスでいうと5%、10%程度が多いが、リゾートワークスでは「割引率が高かったら福利厚生として使ってもらえるのでは」ということで、なんと最大80%割引を謳っている。東京のビジネスホテルの価格の高騰等、出張先の宿泊施設選びに苦心している企業も多いと思うが、30%~80%程度安くなると、出張規定内で宿泊可能となる。それに加えて大きな特徴なのが、従業員本人の利用だけでなく、2親等以内の親族までが利用可能という点だ。また、社員旅行や合宿などに利用する企業もあり、以前は数十室の予約で宿泊費が50万円かかっていたところ、25万円に抑えられたという事例もあったという。「旅行って非日常で新しい発見があったりとか、好奇心がくすぐられたり、その人の成長にもなると思うんです。企業が福利厚生としてリゾートワークスのサービスを導入することで、旅行に行って社員が成長するということをサポートしたいし、高い割引率によって家族で旅行に行ったりすることに寄与して、実質の賃上げになればいいなと思っています」(柳田氏)。尚、今回の取り組みでは、キャンペーン期間中に契約した企業へ最大5万円から10万円ほどのペアチケットのプレゼントが実施されるそうだ。
発表会の後半では、3社それぞれのサービスを実際に導入している企業の担当者を交えて、テーマに沿ったトークセッションが行われた。登壇したのは、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」を導入しているアイシーティーリンク株式会社 取締役副社長・吉野真吾氏、フリー株式会社の「freee福利厚生 ベネフィットサービス」を導入している株式会社サーティースリー 人事部 採用責任者・内田悠乃氏、株式会社リゾートワークスの旅行特化型福利厚生「リゾートワークス」を導入している社会保険労務士法人アールスリー 代表・鈴木理沙氏の3名。
賃上げと福利厚生の関係について、どちらを優先すべきなのか迷った経験は?というテーマについて、吉野氏は、「賃上げは9年連続で続けており今後も続けていくが、採用戦略として福利厚生は優秀な人材を採用するための切り札と考えている」として、優先順位としては賃上げを続けつつ、ハイブリッドで福利厚生も実現していく考えだという。内田氏は、「従業員が日々、会社の利益のために努力していることは、しっかり評価という形で応えている。それとは別に、会社に長く所属してくれていることへの感謝を福利厚生という形で平等に提供できればということで導入した」。鈴木氏は、「賃上げの場合、社会保険料や所得税がかかって額面通りの手取りにならないというところが、経理サイドとしては悩ましいと思うところ。一方で、(福利厚生は)従業員に公平にわたる権利になるので、上長同士の間で“自分の方が会社に貢献してるのに”というような思いがもし生まれたらっていうことを考えると、そこについてのケアをどうすればいいのかなという観点で、悩んだ経験はある」とした上で、「賃上げは基本的に毎年しており、その幅を減らして福利厚生をやるとかではなく、福利厚生に予算を取れるように利益を出すぞという感じで喜ばれる施策であれば導入していくというスタンス」と明かした。
「給与では代替できない福利厚生の価値とは?」というテーマについては、「給与はその人の能力に与えられる対価、福利厚生は従業員のみなさんへの感謝のお返し。そこにかかるコストは必要だと考えている」と吉野氏。きっかけは、従業員がお昼ご飯を節約していたことを知ったことからで、チケットレストランを知りすぐに導入したそうだ。「従業員側に立っている人間としては、給与が上がる分にはうれしいが、少し上がっても生活は劇的には変わらない。大きく賃上げがあっても物価の高さは感じるが、福利厚生のおかげでプラスの感情が生まれるし、ただお金をもらうとは違う部分がある」(内田氏)。「ある会社さんが、社員のお給料を上げてあげたいっていうことで、頑張って予算を割いて賃上げしたんですけれども、社員さんから見るとわずか金額という見られ方をしてしまった。そんな中で、福利厚生であれば、“うちの会社はこんな風に従業員のことを思ってくれている”っていうメッセージで伝わるので、会社からは支出するっていうような同じ行動でもありながら、伝わり方が全然違うんだろうなというふうに思った」(鈴木氏)と、それぞれの立場で実感していることを明かした。導入後は、従業員から好反応を得ていることは3者に共通していた。
最後のテーマは、「これから先、企業は福利厚生をどう活用すべきか?」というもの。「人材確保のためにどのように差別化をしていくか?満足度調査をすると、福利厚生への満足度は80%以上というところに表れている。福利厚生は人材確保の戦略でもあるし、従業員への感謝」(吉野氏)。「業界柄、映画の宣伝したいとかアニメに関わる仕事をしたいという方が多く、人材を集めることにはそこまで苦労する業界ではないものの、競合する大きな会社と比較したときに選んでもらえるためには、ネームバリュー以外に評価してもらえそうなのは福利厚生なのかなと思う」(内田氏)。「会社のメッセージとして活用するのが良いと思う。福利厚生で支援する姿勢が従業員に伝わり、新たに入ってくる人材にどう伝えられるかというのが大事」(鈴木氏)と、思いを語った。
“実感なき賃上げ”が続き需要が高まっている中、福利厚生による生活支援への取り組みを啓蒙して、さらに推し進めようという「#第3の賃上げアクション2026」。福利厚生の導入によって、従業員の生活向上への想いを表現していく企業が増えていくことを願いたい。